将来の相続税負担を軽減するために、生前贈与の仕組みである「暦年贈与」の活用を検討されている方も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、正しい知識を持たずに進めてしまうと、思わぬ税務トラブルを招くリスクがあります。
そこで今回は、暦年贈与をおこなう際の代表的な注意点をご紹介します。

暦年贈与の4つの注意点
注意点1:毎年のルーティン的な贈与を繰り返さない
毎年同じ時期に同じ金額を贈与し続けると、税務署から「定期贈与(定期連年贈与)」とみなされる可能性があります。
定期贈与とは、例えば、「毎年1月15日に子3名に金110万円ずつ10年間贈与する」というようなやり方です。
この場合、金銭の給付自体は10年に分けて行っているとはいえ、贈与1年目の時点で子1名につき金110万円×10年分、つまり一人につき金1100万円の贈与合意が既に形成されていたとして、1年目に金1,100万円が贈与税の課税となるリスクがあります。
これを防ぐためには、毎年異なる時期や金額にすること、そして毎年贈与者・受贈者で署名押印をした「贈与契約書」を作成・保管しておくこと、さらには証拠が残るように現金の手渡しではなく、子や孫名義の預貯金口座への振込みで行うことがお勧めです。
注意点2:預金口座は受贈者が管理する
お金を受け取る子や孫側(受贈者)が、子や孫名義の預貯金口座の通帳や銀行印、キャッシュカードを自分で管理していることが極めて重要になります。
毎年子や孫の名義の口座に振り込んでいても、通贈与する親側が帳などを管理していると、実質的な財産は贈与者たる親のもの(いわゆる「名義預金」)であるとして、親の相続時に相続税の課税対象財産に組み込まれてしまうリスクがあります。
贈与を受けた子や孫本人が自由に使える状態にしておくことが大切です。
注意点3:相続発生の7年以内におこなった贈与には相続税がかかる
現行の法律では、亡くなる前(相続発生前)の一定期間におこなわれた贈与は、相続財産に持ち戻して相続税の課税対象とするルールがあります。
税制改正により、この持ち戻し期間がこれまでの「3年」から「7年」へと段階的に延長されました。
そのため、早いうちから計画的に贈与を進めておくことが、より高い節税効果を得るポイントになります。
注意点4:基礎控除額内の贈与を行うことが得策とは限らない
生前贈与を検討する際、一人につき基礎控除額である金110万円以内に抑えようとするケースは多いです。
しかし、贈与税を支払わずに済む贈与が必ずしも良策とは限りません。
例えば、将来の相続発生時に適用される税率が40%だとすると、贈与税の適用税率がそれよりも低ければ、理論上、贈与税を支払ってでも節税効果が見込めると言えます。
大切なことは、相続税のシミュレーションをきちんとした上で、贈与税の適用税率と相続税の適用税率の比較も踏まえ、戦略的・計画的な生前贈与を実行することです。
また、全く別の観点となりますが、あとで税務署から贈与行為自体を否認されないように、敢えて基礎控除を少し超える額の贈与を行い、低い税率で贈与税を支払うというケースもあります。
例えば、例えば年間120万円の贈与を行うと、贈与税の適用税率は10%となりますので、基礎控除額110万円を差し引いた金10万円に対して10%の贈与税申告、つまり金1万円の贈与税を納税しておくことで、確固たる証拠を残せることとなり、親の相続の際に贈与を否認されるリスクがなくなるというやり方もあります。
以上、今回は暦年贈与をおこなう際の代表的な注意点をご紹介しました。
当事務所は、東京都内はもちろん、神奈川・千葉・埼玉など東京近郊に限らず、Zoom等のリモート打合せも駆使しながら、全国エリアで対応しております。
生前贈与に限らず、円満円滑な相続・資産承継・事業承継に向けて、効果的な施策を検討・実行したい方は、是非一度≪司法書士法人 宮田総合法務事務所≫までお気軽にご相談くださいませ。




