法定相続人の一部に、従来の住所・居所を去り容易に戻る見込みのない者(不在者)がいる場合、その財産を管理する人がいなければ、その行方不明者を除いて遺産分割協議をすることはできません。
この場合、不在者及びその残留財産につき利害関係を有する第三者の利益保護のため、「不在者財産管理人」の選任を家庭裁判所に求めることができます(生死不明の状態が7年以上の場合には、「失踪宣告」の審判を受けることで、その行方不明者が死亡したものとして処理できますが、7年未満の場合にはこの不在者財産管理人が必要になります)。
相続人が行方不明 → 生死不明状態が7年以上の場合 → 失踪宣告
相続人が行方不明 → 生死不明状態が7年未満の場合 → 不在者財産管理人選任
選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割、不動産の売却等を行うことができます。
【不在者財産管理人選任申立手続き】
●申立人 利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、債権者など)、検察官
●管轄 不在者の従来の住所地の家庭裁判所
●手数料等 収入印紙800円と郵便切手(裁判所によって異なります)
●必要書類 申立人、不在者の戸籍謄本、財産管理人候補者の戸籍謄本・住民票、行方不明になった経緯する資料、財産目録、不動産登記簿謄本
遺産分割協議のための申立ての場合、共同相続人以外の者を候補者としなければなりません。
選任された財産管理人は、不在者の財産から報酬をもらうことができますが、家庭裁判所から担保の提供を求められることもあります。