任意後見契約のうち、代理権にかかわるもの、すなわち下記(1)から(3)は、契約の変更によってすることはできません。
(1) 代理権の範囲の変更
(2) 第三者の同意・承認を必要とする特約の追加・廃止
(3) 複数任意後見人の権限共同行使の定めの追加・廃止
つまり、上記(1)から(3)の変更をするには、一旦契約を解除したうえで、新たに任意後見契約を締結し直すしかありません。
なお、代理権の追加に限っては、追加部分だけ新しい契約をすることもできます。
新たな契約については、はじめから登記、任意後見監督人選任の手続をする必要があります。
これに対して、代理権にかかわらない部分、例えば報酬額などについては、公正証書によれば変更契約をすることができます。
任意後見契約の解除は、任意後見監督人選任(任意後見契約の発効)前であれば、公証人の認証ある書面によってすることができます。
合意解除であれば、その合意書に認証を受け、それ以外の場合には、解除通知書に認証を受けて相手方に送付します。
任意後見監督人選任(任意後見契約の発効)後であれば、正当事由がある場合に限り家庭裁判所の許可により解除が可能です。
たとえ任意後見人に債務不履行があって契約を解除したい場合でも、家庭裁判所の許可は必要になります。
家庭裁判所の許可を受けた場合でも、別途相手方に解除通知書を送付する必要があります。
なお、本人に判断能力がない場合には、契約解除できませんので、家庭裁判所による解任の手続を踏むことが必要になります。
解除により任意後見契約が終了した場合には、自分でその登記手続をしなければなりません。
登記申請には添付書類として、解除の事実を証明する資料が必要ですから、解除通知は内容証明郵便で出すことが必要です。