成年後見人等は、家庭裁判所等が、一切の事情を考慮して適任者を選びます。
「後見開始の審判」「保佐開始の審判」「補助開始の審判」をする場合には、家庭裁判所は、必ず成年後見人、保佐人、補助人(以下、この三者を成年後見人等と言います)を選任します。
選任の基準
成年後見人等を選任するにあたっては、家庭裁判所は、以下を基準に適任者であるかを判断します。
- 本人の心身の状態
- 本人の生活、財産の状況、
- 成年後見人等となるべき者の職業・経歴
- 本人との利害関係の有無
- 成年後見人等となるべき者が法人であるときは、その事業の種類・内容、法人および代表者と本人との利害関係の有無
- 本人の意見
- その他一切の事情
申立人も候補者を立てることができ、なおかつ申立人自身が候補者になることもできますが(「一切の事情」に含まれる)、本人の意見と同様に考慮の一要素であり、裁判所はこれに拘束されるものではありません。
また、成年後見人等に選任されるのが親族に限定されているものでもありません。
家庭裁判所は、本人に高額の財産があったり、親族間で療養看護や財産管理の方針に大きな食い違いがあるような場合には、弁護士、司法書士又は社会福祉士等といった第三者の専門家を成年後見人等や成年後見監督人等として選任することがあります。
選任の資格
成年後見人等になるについて、特に資格は必要ありません。
しかし、次に該当する人は成年後見人等にふさわしくないので選任することはできません。選任後に該当することになると、当然に成年後見人等の地位を失います。
欠格事由
- 未成年者
- 家庭裁判所で、法定代理人(後見人、相続財産管理等)、保佐人、補助人を解任されたことがある者
- 破産者
- 本人に対し訴訟をし、またはした者。その者の配偶者、直系血族
- 行方の知れない者
本人が入所している施設、その役職員は、本人と重大な利害関係・利益相反関係を持ちますので、選任基準に照らして、実務上、成年後見人等に選任されることはないのが通例です。
しかし、欠格事由ではありませんので、必要性が高い場合は、選任されることもあり得るかもしれません。