被後見人に財産や収入がない場合、被後見人の生活費(入院費などの一切を含む)は、被後見人の扶養義務者が単独又は共同で負担しなければなりません。
後見人だからといって、それらの費用を負担する義務はありませんが、後見人自身が被後見人の扶養義務者でもある場合には、扶養義務者の一人として負担を求められることがあります。
扶養義務者がいなかったり、扶養義務者に資力がないような場合は、生活保護など公的扶助を受給することになります。
【扶養義務者による負担】
被後見人の生活に要する費用は、基本的には被後見人の財産及び収入から支払われるのが相当ですが、被後見人の財産が底をついてしまっており、さらに、収入も十分でないような場合には、被後見人の扶養義務者(配偶者、親、祖父母、子、孫、兄弟姉妹)が負担することになります。
扶養義務者が複数いる場合には、誰がどのように負担するかを話し合いで決めることになります。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判を利用することもできます。
後見人が被後見人の扶養義務者でもある場合には、扶養義務者の一人として負担を求められることがありますが、「後見人だから」といって他の扶養義務者に優先して負担を強いられるものではありません。
他の扶養義務者と協議をして、それぞれの経済力など一切の事情を考慮のうえ負担していただくことになります。
【扶養義務者がいない場合】
被後見人に、扶養義務者にあたる身寄りがいない場合や、扶養義務者に生活余力がなくて援助困難な場合には、生活保護などの公的扶助を頼る以外に方法はありません。
そのような場合に、被後見人の居住地の市町村役場等に出向き、公的扶助の申請手続きを行うことも後見人の大事な職務になります。