成年後見人は、本人の財産管理から生活や療養看護、介護の手配まで幅広い権限を持ちますので、その権限を濫用したり、逆に任務を怠ると、本人の生活、健康、生命まで脅かされる可能性もあります。
成年後見に対する指導、監督は、基本的には家庭裁判所の役割ですが、本人の財産が巨額でより細やかな監督が必要な場合や、成年後見人に対して助言等が必要な場合には、家庭裁判所による監督を補完するものとして、成年後見監督人を選任することができます。
成年後見監督人の職務
成年後見監督人の主たる職務は下記の通りです。
- 成年年後見人の事務全般について監督・指導すること
- 成年後見人が死亡したときや、破産宣告を受けるなどして成年後見人の地位を失ったとき、遅滞なく後任者の選任を家庭裁判所に請求すること
- 成年後見人が急病になったり海外にいるなどのときに、本人に必要な契約をしたり、財産の保全などを行うこと等の必要な処分をすること
- 成年後見人またはその代表する者と本人の利害が相反する場合に、本人を代理すること
後見監督人の選任
成年後見監督人は、申立てにより又は職権で、家庭裁判所が本人の心身の状態、本人の生活や財産の状況など一切の事情を考慮して、選任します。
成年後見監督人になるための特別の資格はありませんが、成年後見人になれない人(後見人の欠格事由に該当する人)、成年後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹は「監督」という職務にふさわしくないため、後見監督人になれません。
後見監督人の報酬等
成年後見監督人は、家庭裁判所の審判に基づき、被後見人本人の資産から、報酬を受けることができます。
後見監督人の職務を遂行する際に必要となる経費も、被後見人本人の負担となります。