「補助」は、「事理を弁識する能力が不十分な人」について、家庭裁判所が「補助開始の審判」をすることによって開始します。
「事理を弁識する能力が不十分」とは、不動産や自動車の売買などの重要な行為は一人でできないことはないが、一人でするには不安が残るという場合であると説明されています。
補助開始の審判をするには、必ず、本人の同意が必要です。
この制度は、本人の意思を尊重したもので、本人への援助・保護の必要性と本人の自己決定の尊重との調整を図っているため、補助人は、本人が望む一定の事項について、保佐人と同様の活動(同意、取消、代理)をすることで、本人を援助していきます。
補助では、「補助開始の審判」と同時に、後述の「同意権付与の審判」または、「代理権付与の審判」のいずれか(または両方)がなされなければなりません。
補助では、①同意権・取消権だけ、②代理権だけ、③その両方、という3つの選択が可能となり、柔軟な援助が期待できます。
【申立て手続き】
●管轄
本人の住所地(原則としては住民登録をしている場所)
東京都の場合、23区と諸島は東京家庭裁判所本庁の管轄になり、その他の市町村は東京家庭裁判所立川支部の管轄になります。
●申立人
本人、配偶者、四親等内の親族、成年後見人等、成年後見監督人等、市区町村長、検察官
※四親等内の親族とは
(1)親、祖父母、子、孫、ひ孫
(2)兄弟姉妹、甥、姪
(3)おじ、おば、いとこ
(4)配偶者の親・子・兄弟姉妹
●必要書類
≪裁判所所定の様式あり≫
・申立書
・申立書申立事情説明書
・本人の財産目録
・本人の収支状況報告書
・後見人等候補者事情説明書
≪本人の確認資料≫
・本人の戸籍謄本
・本人の戸籍附票又は住民票(世帯全部、省略のないもの)
・本人の成年後見に関する登記事項証明書(登記されていないことの証明書)
・本人の診断書(裁判所で定められた成年後見用診断書)
≪後見人等候補者の確認資料≫
・後見人等候補者の戸籍謄本
・後見人等候補者の住民票(世帯全部、省略のないもの)
・後見人等候補者の身分証明書(市区町村長の発行するもの)
・後見人等候補者の成年後見に関する登記事項証明書(登記されていないことの証明書)
≪申立人の確認資料、その他≫
・申立人の戸籍謄本(後見人等候補者と同一人物の場合は不要)
・申立人の戸籍附票又は住民票(後見人等候補者と同一人物の場合は不要)
・申立人の印鑑
・申立人の預金通帳のコピー(表紙から次頁までのコピー)
≪本人の財産目録及び収支状況報告書を疎明するための資料≫
・本人のすべての不動産の不動産登記簿謄本(法務局の発行するもの)
・本人のすべての預貯金通帳や証書の表紙から記帳されている全頁のコピー(最新の日付で記帳した通帳)
・本人のすべての有価証券(株,債権,保険及び投資信託)の残高証明書や通知書のコピー
・本人の負債を疎明する資料のコピー(金銭消費貸借書、負債の返済計画や残高を疎明する書面、本人と申立人又は候補者との間で債権債務がある場合にはその内容を疎明する資料(領収書等))
・本人のすべての収入を疎明する通知書のコピー(恩給、年金、福祉手当、高額医療費助成金、家賃や地代収入、源泉徴収票、確定申告書(付属資料を含む))
・本人の支出を疎明する領収書や通知書のコピー(施設費、医療費、住民税、固定資産税等、年金保険料、健康保険料、介護保険料、家賃(契約書))
≪本人の健康状態に関する資料≫
・要介護認定通知書又は介護保険証のコピー
・愛の手帳のコピー、身障者手帳のコピー
≪本人を相続人とする遺産分割が予定されている場合の疎明資料≫
・本人が相続人となっている遺産目録のコピー
・遺産分割協議書(案)のコピー(本人の状況に関する資料)
≪候補者の状況に関する資料≫
・候補者の収入を証する資料(源泉徴収票、確定申告書又は年金通知書)のコピー
●手数料等
・収入印紙800円(補助開始事件について同意権又は代理権の付与事件の申立てをする場合には、さらに各事件ごとに800円分の収入印紙が必要となります。)
・収入印紙2600円分(登記用)
・郵便切手(裁判所によって異なります)
・その他鑑定費用