頼れる家族・親族が近くにいない、いわゆる“おひとりさま”においては、将来のことや老後の安心を考え、任意後見制度の活用をお考えの方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、“おひとりさま”が安心できる老後のために考えるべき、任意後見受任者による「見守り契約」について、簡単に解説します。
“おひとりさま”における任意後見契約の重要性
ご高齢の方にとって、自分の老後のサポートを頼める子や孫、甥姪がいない場合、もし自分が認知症や大病になったら、誰がどのように入院・入所の手続きやその支払い関係、財産管理等をやってくれるのか、大きな不安をお持ちの方も少なくありません。
その場合、信頼できる第三者(司法書士・弁護士等の法律専門職やNPO法人など)との間で、自分が元気なうちに「任意後見契約」を交わし、老後を託しておくことが大変有効な選択肢になり得ます。
そうしておくと、いざ自分の判断能力が低下した際には、任意後見契約を発動させ、その契約に基づき当該第三者がスムーズに「任意後見人」に就任して、入院・入所の手続きや各種支払い、財産管理等をしてくれることになります。
もちろん、“おひとりさま”に限らず、家族・親族には負担をかけたくないので、予め信頼できる第三者に老後を託したいケースでも、任意後見契約を活用することもあります。
任意後見受任者による見守り契約とは?
任意後見契約を交わした第三者(これを「任意後見受任者」という。)は、家族・親族ではないので、任意後見契約を発動するまでの間に、本人がどんな生活をしているか等について、なかなか把握する術がありません。
そこで、任意後見受任者が定期的に本人と連絡を取ったり、直接本人の自宅を訪問したりすることで、本人の健康状態や生活状況を把握し、任意後見契約を発動するタイミングを見極める必要があります。
これを任意後見受任者による「見守り契約」と言います。
この見守り契約は、現在は自分で何でもできているが、将来が不安で、今から少しでも安心したい方にお勧めの契約といえるでしょう。
定期的に連絡を取ったり面談をしたり、ホームドクターのような気軽な相談相手として常に繋がっていられるので、大きな安心感が得られるはずです。
見守り契約よりもさらに安心な「安否確認サービス」の活用も
元気なうちから高齢者施設に入所されている方は心配はいりませんが、自宅に独居で暮らしている高齢者の場合は、任意後見受任者が月1~2回程度定期的に連絡をしてくれるだけでは、安心とは言い切れません。もし急に倒れたりしても、発見が遅くなり大変な事態になりかねません。
そのような方は、日常生活を見守る(安否確認をする)仕組みを構築すると安心です。
たとえば、民間企業によるホームセキュリティサービスの一環として、トイレや電気ポットに人感センサーを設置し、一定の時間内に本人が人感センサーに引っ掛からなければ、居室内で倒れている可能性を踏まえ、緊急連絡先(この連絡先を任意後見受任者にしておきます)への連絡や、警備員が至急で駆け付けるサービスを導入するのも良策です。
つまり、法的なサポートとしての任意後見受任者による「見守り契約」の限界を踏まえ、民間企業による安否確認サービスも利用又は併用することも検討すべきと言えます。
上記を踏まえまして、まずは、安心できる“おひとりさま”の老後の仕組み構築に精通した専門家に相談をされるのをお勧めします。
任意後見や見守り契約について何かお困りのことがあれば、一度当事務所にご相談ください。
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