少人数の株主を前提とする中小企業にとっては、相続や合併等により、会社にとって好ましくない株主や全く縁のない株主が出現すること、相続人が多数いたため株主が増え株式が分散してしまう等のリスクがあります。
この対策として、定款に規定を設けることにより、相続や合併等で譲渡制限株式を取得した者に対して、会社がその株式を売り渡すように請求することができます。これを“相続人等に対する売渡し請求権”といいます。
新会社法施行までは、譲渡制限株式であっても、相続や合併等の事由による株式の移転は制限できませんでしたが、この“売渡し請求権”により、会社の経営を安定させることや円滑な事業承継が可能になりました。
◆会社が売渡請求を行う際のポイント◆
(1)請求期限
相続等があったことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)を経て請求する必要があります。
(2)売買価格 株式の売買価格は当事者間の協議によりますが、 協議が整わない場合、裁判所に売買価格決定の申立てができます。ただし、申立ては売渡請求の日から20日以内に行う必要があります。
(3)財源規制
剰余金分配可能額を超える買取りはできません。