遺言の中で信託を設定するいわゆる「遺言信託」を設定したい場合、必ず公正証書で作成しなければならないという法律上の制限は一切ありません。
つまり、遺言信託の設定は、自筆証書遺言でも可能です。
しかし、「信託」という仕組みは非常に複雑になり得ますし、相続人を長期にわたり拘束するような強固な法的枠組みですので、家族信託・遺言等に精通した法律専門家の関与は不可欠と言えるでしょう。
と言いますのも、遺言者やその家族のどんな想い・希望を実現したいか、どんなリスクを回避したいのか、というそもそもの目的・趣旨を明確にした上で、取り得る選択肢を検討し、その結果として「遺言信託」という方策を採用した、というプロセスが必要です。
実務的には、「遺言」の中で信託を設計するよりも、遺言者本人が元気なうちから「契約」で信託を発動させる方が圧倒的に多いので、本当に「遺言信託」がベター・ベストな方策なのかを検討することは非常に重要です。
また、遺言信託を設定する場合の遺言書への記載方法等にも様々な論点がありますので、せっかく設定した遺言信託が、相続発生後に無効になったり、かえって遺産相続争いの火種になっては元も子もありません。
家族信託に精通した法律専門家と十分に検討して遺言書案を作成し、かつ公証人によるチェックも通じて、将来に不安を残さない万全の作成方法がベストです。
その意味で、公正証書遺言において信託を設定することを強くお勧めします。