様々なケースで活用できる「信託」ですが、必ずしもプロの受託者(信託銀行や信託会社)に財産を預けなければならない訳ではありません。
つまり、家族や親族等に自分の財産をきちんと託すことができる相手がいれば、その方が「受託者」になることができます(プロの受託者に預けない信託の仕組みを「民事信託」と言います)。
また、信託銀行は、高額な資産(預金・有価証券等)しか「信託」として預かってはくれませんし、現時点では不動産を信託財産として預かる信託銀行はほとんどありません。
相続や生前の財産管理でお悩みの方は、多くの方が不動産を所有しておりますので、信託銀行がこれらのニーズに万全に応えることは難しいのが実情でしょう。
その点、信託会社は様々な企業努力で、顧客のニーズに即した信託を提供できるようになりつつありますが、どうしても高額な信託報酬が発生しますので、資産家でないとハードルは高くなってしまいます。
そこで、親族が受託者となれば高額な信託報酬も発生せず、資産家に限らず誰でも気軽に円満円滑な財産管理と資産承継の仕組み実現できる可能性があります。
特に不動産を信託財産とする場合は、仕組み自体単純であるケースも多いので、受託者が暴走しないような仕組みをしっかり作れば、親族が受託者として財産を管理していくことは何ら難しいことではありません(イメージとしては、親族が後見人となって財産管理をするのとほとんど同じですので、特段「信託」だから大変だということにはなりません)。
その点において、「民事信託」が優れており、もっともっと世の中に普及・浸透していけば、喜ばれる方が増えるのではないかと思います。