東京や大阪などの大都市圏に子供たちが出てきてしまい、地方(田舎)にある実家は、高齢の両親だけで(又は単親が独居で)暮らしているケースは、少なくない。
子の想い、親の想い
このようなケースで、都会で家庭を持つ子供達からすると、こういう想いを持っている方も多い。
「老親とこれから同居するには今の住まい・間取りでは厳しい。だからといって、このまま遠方の実家で暮らし続けるのも、医療体制や緊急時の対応を考えると不安。できることなら近所に引っ越してきてほしい。そうすれば、サポートをしやすくなるし、もし高齢者施設に入所するとしても、なるべく近所の施設にしてもらえると安心だ。」
一方の親側とすれば、こういう想いを持つ方も多い。
「住み慣れた地を離れ、今さら都会に住むのも気が引ける。子供家族と同居するのも窮屈で臨まない。自宅で過ごすことが困難になったら、住み慣れた地元の施設を探したい。」
親が自らATMに行って年金を下ろして使う生活ができるうちは良いが、足腰の問題や体調不良・認知症が原因で、自分で預金を下ろすこともままならなくなったら、介護サービスをどのように導入して、あるいは施設へ入所をして、安心安全な老後を実現するのかをしっかりと検討しなくてはならない。
その際に、介護事業者等関係各所への支払いが生じたり、入所一時金として100万から1,000万円単位のまとまった金額を動かす必要性が出てくる可能性がある。
あるいは、空き家となった実家をどのタイミングかで売却処分して、長期にわたる親の介護費用・施設利用料に充てることも想定する必要がある。
「家族信託」を活用する
このようなケースで、「家族信託」を活用して、老親保有の財産の管理・処分、老親の生活サポートの仕組みを構築することは良策となり得る。
親の預貯金口座は親自身が窓口で手続きをしなければ、原則として払戻しや振込みはできなくなる(※)。
※これを「預金凍結」という言い方をするが、相続手続き時における入金も引落もストップする“完全凍結”と異なり、年金の受取や口座引落は引き続きできるので、親が判断能力を喪失したからといって、預貯金が一切使えなくなる訳ではないことに注意!
そんな事態に備えるために、親が元気なうちに家族信託の契約に基づき日常生活に必要な生活資金だけを残して、管理を担う子(これを信託の仕組みの中では「受託者」という)が預かっておくという「家族信託」の施策はとても有効だ。
また、親の財産である実家の不動産も信託財産として受託者たる子が管理を預かることで、いざという時(例えば、親が入院・入所して実家が空き家になったとき)に、子が賃貸に出して利益を生み出したり、売却して介護資金を捻出することも合法的かつスムーズにできる。
さらに、家族信託の副次的な効果・メリットとして、老親(両親又は単親)を看取った時点で、もし実家の不動産が残っていた場合のスムーズな対応も挙げられる。つまり、実家不動産の登記簿上の名義は、信託契約に基づき「受託者 子」となっているので、老親亡き後にその実家を引き継いで居住・利用する子や孫がいなければ、信託終了の登記や相続登記などを挟まずに(余計な手間や登記費用を発生させずに)、そのまま受託者が売却手続きを行い、換価代金を相続人に分配することができる。
まとめ
結論として、「家族信託」の契約で老親の金融資産と実家不動産の管理・処分権限を設定することで、もし老親の判断能力が低下しても、金融資産や不動産を老親のために有効に使って生涯をサポートするという万全の体制、さらにはその先の円滑な承継へのレールが構築できるといえる。
全国対応可能
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弊所では、北は北海道、東北、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄・・・と、地方にいる老親のサポートと実家の管理と処分を目的とした家族信託の実行事例が増えています。
コロナ禍を契機に、Zoom、Skype、LINE等のリモートでのお打合せも定着してきているので、地方に住む老親ともオンラインで繋ぐことができれば、地方にお伺いするのは最少回数(少なくとも信託契約締結時には、本人確認を兼ねて本人と直接面会をしています)で済むため、手間もコストも実はかなり抑えることができます。親側・子側の居住地は、あまり気にせずに、実家にいる老親の生活サポート、実家の管理・処分に関するご相談は、お気軽にお問合せ下さいませ。
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