最近世間を騒がしているニュースの一つに、所得税の「配偶者控除」の見直しを
大きな柱とする2017年度の税制改正の話題があります。
正式には、12/8に発表される「与党税制改正大綱」を待つことになりますが、
この「配偶者控除」がどのように変わるかの概略をご説明します。
現在、夫が配偶者控除を受けるには、妻の年収が103万円以下
であることが条件とされています。
つまり、現行制度では、妻がパートに出ても、本来はもっと就労する時間が取れるのに、
夫の税金が増えないように敢えて勤務時間を減らし、パートの収入を103万円以下に
抑えているパート主婦が多いという現状がありました。
いわゆる≪103万円の壁≫と呼ばれている問題です。
働き方改革の一環として、日本の労働力不足を補うべく、女性の就労を促す施策の一つとして
この問題が取り上げられています。
これに対し政府・与党は、12/8までにまとめる「与党税制改正大綱」の中で、
妻の年収要件を引き上げる一方で、夫の年収に制限を課すという方針で
政府与党内の合意が得られたようです。
具体的には、パート主婦の減税対象の年収上限を103万円から150万円に拡大します。
その代わり、夫の年収1120万円が未満の場合は控除額が38万円、
1120万以上1170万円未満の場合は26万円、1170万以上1220万円未満の場合は13万円
と段階的に控除額を縮小し、夫の年収が1220万円以上になる場合は、控除額がゼロになる
という仕組みです。
財務省の試算では、、主婦の年収制限を150万円引き上げると、360万世帯が減税になる一方、
年収1220万円以上で控除の恩恵を受けられなくなる増税対象は、約100万世帯になるとのことです。
ただ、この≪103万円の壁≫が≪150万円の壁≫に変更されたとしても、
実は、以前からある社会保険の≪130万円の壁≫が存在します。
これは、妻の年収が130万円未満であれば、夫の健康保険の「被扶養者」になり、
健康保険料を自己負担せずに健康保険に加入できるというものです。
また、公的年金でも国民年金の第3号被保険者になるため、
保険料の負担なく加入でき、将来に老齢年金を受け取ることもできるのです。
さらに、今年の10月から新たに社会保険における≪106万円の壁≫も追加されたので、
自体はシンプルに≪150万円の壁≫に統一された訳ではないので注意が必要です。
この壁は何かと言いますと、パートタイマーのうち下記の要件を満たす約25万人を対象に、
社会保険への適用が拡大されるというものです。
言い換えると、パートタイマーでも社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することになるのです。
つまり、夫の扶養内に収まるように働いているパート主婦にとっては、
パートの収入に対し、社会保険料が引かれてしまうと共に、夫の扶養に入れず、
実質的に手取り額が減ってしまうということになります。
【2016年10月施行の社会保険適用対象】
1.勤務時間が週20時間以上
2. 1カ月の賃金が8.8万円(年収106万円)以上
3.勤務期間が1年以上見込み
4.勤務先が従業員501人以上の企業
5.学生は対象外
より詳しい情報は、こちらをご参考に。