2020年10月28日付日本経済新聞の記事によると、不動産の賃貸借契約の申込み・契約締結から電気・ガス等のライフライン、引越しや火災保険など転居に伴い必要となる契約手続きをスマートフォンで一括契約できる不動産賃貸借契約の電子化サービスのプロジェクトが2021年春の始動に向けて進行しているという。
サービス名称は「スマート契約」といい、スマホにおいて利用者がアプリに入力した名前や住所をブロックチェーン(分散型台帳)上で管理し、複数の企業が同一のデータを参照し、書き込むことができる。利用者は、スマホ上で手続きを完結でき、様々な書類に記入や押印をする必要がなくなる。
このプロジェクトは、住友商事とビットフライヤーブロックチェーンが手がけているが、そこに三井住友海上火災保険や東京ガスなど25社が加わるという。
25社は、不動産の賃貸から引っ越し、火災保険など主に転居に伴って必要になるサービスを手掛ける企業が並ぶ。例えば、電気は東京電力エナジーパートナー、ガスは東京ガス、火災保険は三井住友海上、家賃債務保証サービスではエポスカードなど。
このプロジェクトには、25社以外にも参加を募っており、2021年春のサービス開始段階では枠組みが拡大する可能性が高い。さらに今後は、両社はこのスマート契約の仕組みを活用することで、不動産の分譲・売買分野への展開も検討しているという。
「紙」から「デジタル」へ、‶ハンコレス(脱ハンコ)社会” に向けた動きが注目されてきている中で、この一括契約サービスは、大きな利便性と経済活動の合理化の可能性を秘めている。
このサービスのメリットは、借り手となる個人として、スマホのみで賃貸契約から各種ライフライン契約等ができるということに加え、賃貸の仲介・管理を担う不動産業者にとっても賃貸契約手続きが簡便化し、データによる賃貸管理がしやすくなる。さらには、転居に伴う手続きに絡む業界においても、手続きの簡便化に加え、サービスの加入率が向上することが見込まれる。
コロナ禍を大きなきっかけに始まっている、働き方や価値観の大転換、そして、大きな社会的インフラの変革期がまさに進行していると言える。