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修繕費上昇で高齢者の「終の棲家」が危うい

2022年6月5日の日本経済新聞日曜版の1面記事によると、高齢者が住む住宅の修繕費が上昇し、「終の棲家」での暮らしを圧迫しているという。


★「終の棲家」を確保しても安心できない

総務省の家計調査では、世帯主の年齢が60歳以上の二人以上世帯の持ち家率は、2021年で90%を超えており、多くの高齢者が「終の棲家」を確保していると言える。

しかし、「人生100年時代」といわれる長寿化に伴い、生涯における住宅の修繕回数が増えることになり、その住宅修繕費は、人件費の上昇やコロナ禍・ウクライナ情勢などの影響を受けた資材の高騰により、ここ10年で2割上がっている。持ち家に関する修繕費の上昇のリスクは、戸建に限らず、マンションにおいても同様だ。

マンションの毎月の修繕積立金は、10年前より4割弱上昇しており、全体的な上昇傾向は変わらないという。

住宅修繕費の上昇が老後生活を圧迫している問題の根底には、世帯構造の変化があるとの指摘される。
国勢調査で2020年と1980年を比べると、単独世帯が急増し、「夫婦と子」や「親・子・孫の3世代」などの世帯の割合は大幅に下がった。
かつて家の修繕費の負担は、同居する若い世代へ順次リレーされてきたが、現在は高齢者が晩年まで捻出を迫られるのが現状だろう。

★賃貸暮しでも安心できない

一方の賃貸住宅での暮らしはどうか。

賃貸住宅の家賃は、大幅な上昇こそ少ないが、孤独死のリスクや認知症に起因する近隣トラブルのリスクを踏まえ、高齢者の入居に拒否感を示す賃貸住宅のオーナーは多く、高齢者にとって賃貸住宅の入居は容易ではない。
まして、「保証人」や「身元保証人」を求められる際に家族や親族になり手がいないケースも多い。

最近では、「保証人」を立てられない賃借人には、「家賃保証会社」に依頼するケースが増えている。ただし、家賃保証会社には、借主の年齢、職業、収入などに関する審査があり、審査が通った借主は家賃保証会社に保証料を支払うことになり、経済的な負担は増す。

また、近くに頼れる家族・親族がいない高齢者にとっては、賃貸住宅を借りるときに限らず、病気やケガで病院に入院するとき、老人ホームなどの施設へ入居するときに、身元保証人を求められるという問題がある。
そのような方を対象として、賃貸住宅の保証人に加え、入院時や施設入居時の保証人も請け負う「身元保証サービス」を提供している民間企業や社団法人、NPO法人などがある。

「身元保証サービス」は、超高齢化が急速に進む日本の社会においてはのニーズが高まっているが、サービスを提供している事業者は玉石混交とも言える。
しっかりとした情報を集めて、優良な事業者を見極める必要がある。

以上のように、「終の棲家」たる持ち家を持っていても、賃貸住宅に住んでいる場合でも、高齢者が安心して自宅に住めなくなっているのが高齢社会の現状。

そこで、老後の生活設計につき、元気なうちから備えをしておくことが大切となる。

支え手となる家族・親族がいる場合は、老後の住まいや生活設計について、家族・親族や法律専門職を交えて、しっかりと“老い支度”を始めること。
支え手となる家族・親族がいない場合は、法律専門職などに相談してしっかりとした対策を練りたいところ。

そして、将来もしかすると自宅で暮らすことができずに施設入所せざるを得なくなる事態も想定し、できる限り自分の望む老後が実現できる施策を検討したい。

具体的な施策としては、家族信託任意後見見守り契約リバースモーゲージリースバックなど。

インターネットの断片的・偏った情報だけで老後を設計することは、無装備で高い山に登るがごとし。
この分野に精通した信頼できる法律専門職にご相談されることをおススメします。

安心できる老後の生活設計のご相談は、宮田総合法務事務所まで!

 

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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