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離婚や遺産分割の調停がデジタル化へ向け来年法改正へ

2022年8月1日付日本経済新聞朝刊によると、政府は、離婚や遺産相続に関する家事調停手続きをデジタル化(電子化)する「家事事件手続法」の改正法案の提出を2023年通常国会で目指すという。

これにより、調停の申し立てから裁判官らによる聞き取り、記録の閲覧までインターネットやオンライン会議で運用できるようになる。

 

離婚を巡っては、下記の3つの方法があるが、下記③の裁判離婚における手続きについては、本年5月に成立した民事訴訟法などの改正法で口頭弁論といった手続きのデジタル化が決まった。

①夫婦の話し合いによる「協議離婚」
②家事調停による「調停離婚」
③訴訟による「裁判離婚」

この際、調停離婚の成立時に必要な当事者双方からの意思確認はオンライン会議でも可能になった。
次の法改正では、現行制度で認められていない調停の申立てや調停に向けた協議をデジタル化する。

申立ては現在、書類を裁判所に持参するか郵送しなければならないが、法改正によりインターネットを通じた申立ても可能にする方向だ。
合わせて、弁護士などの代理人には、インターネット提出を義務化する案を盛り込むという。

調停における「オンライン会議」は、これまで当事者が遠隔地に住む場合などに限って電話会議を認めてきたが、この要件を撤廃しオンライン会議を幅広く活用できるようにする。

これまでの離婚調停においては、夫婦は別々に控室で待ち、調停室でも交互に調停委員が話を聞いていたとはいえ、行きや帰りに家庭裁判所内外で顔を合わせるリスクは高かった。

オンライン会議を普通に利用できるようになれば、そのようなリスクが無くなるので、DV(家庭内暴力;ドメスティックバイオレンス)などが絡む調停事件では非常に効果的な運用ができるようになる。

また、夫婦のどちらかが単身で子育てしながら仕事をしていると、平日の日中に家庭裁判所に行く時間が取れないことも多い。インターネットで調停手続きが申立てからすべて完結できるようになれば、離婚調停も申立てしやすくなる。東京家庭裁判所などはすでにオンライン会議での聴取を試験的に始めているようだ。

次回の法改正では、現行法では裁判所に行かなければできなかった関係書類(申立書や調停に関する合意書など)の記録をインターネットで閲覧できるようにすることも目指す。
養育費の支払いなど離婚協議に基づく債務の不履行の際に、相手方の財産などを差し押さえる民事執行や倒産に関する手続きも、同様にデジタル化することを試案に入れている。

 

最もデジタル化が遅れた業界ともいえる法曹界、特に家庭裁判所の調停手続きがデジタル化されることは、忙しい方・郊外に住む方など多くの方にとってメリットなるでしょう。また、副次的な効果として、高齢で法改正やIT化についていけない弁護士の良い意味での淘汰にもつながるでしょう。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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