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家族内の問題の多くはメンタル・障害が影響しているという事実!

「家族信託」を活用した”安心の老後”と”円満円滑な資産承継”の仕組み作りのコンサルティングが小職のメイン業務の1つであるが、相当数のご家族とご縁をいただく中で長年感じていることがある。

それは、家族内の確執・紛争においては、その半数前後が、当事者の中に何らかの精神的問題(鬱などメンタルヘルスに支障が生じる症状)を抱えている方がいる、又は発達障害(自閉スペクトラム症など)のある方がいることが起因していると思われることだ。

(ちょうど、11/15付の朝日新聞の朝刊に『「ツレ」が発達障害』という記事が掲載されていた。
この記事の中では、愛している夫が自閉スペクトラム症で、相手の気持ちが推し量れない・こだわりが強い・意思の疎通が難しい・・・などで怒りやストレスで不眠になった妻の話が載っていた。)

 

話しを元に戻すと、親子間・兄弟間・夫婦間など家族内における確執・トラブルの原因が、当事者のメンタル面や発達障害であるケースが少なくないという事実だ。

それはどういうことかと言うと、話し合いの場において、「理屈が通用しない」ということを意味する。

こちら側が大幅に譲歩した条件を提示し、相手にとって十分にメリットのある提案をしても、それに応じてくれないケースが多いのだ。
そこには、経済合理性(自分にとって金銭的・経済的にメリットが大きいとして、何らかのアクションや合意をしようとする判断基準)が働かない。
そうなると、当事者同士で話し合おうにも話がかみ合わず、交渉が頓挫をする。
それならば、代理人弁護士を就けようといって、当事者がそれぞれ弁護士を立てても、落としどころが見いだせない。
最終的に裁判所に「調停」の申立てをして、公的な場所で解決を図ろうとするも、それも和解への糸口が見つけづらい・・・。

こういうケースを沢山見てきた。

これは、家族内におけるの老親の財産管理に対する主導権争いや遺産相続の場面に限ったことではない。
夫婦間の離婚・財産分与に関するご相談の場面でも同じことが言える。

 

精神的問題や発達障害を抱えている方を非難するようなことを言いたいのではない。
ここで小生が言いたいのは、こういうケースにおいて、往々にして、精神的問題や発達障害を抱えている方と向き合う方が精神的・肉体的に疲弊してしまうことに注意喚起したいのだ。

「なぜ、こちらの言うことが伝わらないのだろう?」
「こちらの説明・言い方がマズかったのかなぁ。」
「どうしたら、相手が納得してくれるのだろう。」

まじめな方ほど、「この家族の問題・夫婦の問題においては、自分に何か非があるのではないか」と自分を省みて、思い悩み、疲れ、それが蓄積されると自らも精神的問題を抱えるに至る。

そういうケースを、実は山ほど見てきた。

でも、問題の原因は、こちら側には無いのだ。
だからと言って、相手方に非がある訳でもないかもしれない。

これは、相手方の病気や障害が起因しているのであって、相手の性格が悪い、頭が悪い、人格が破綻している・・・という訳ではない。
まして、自分が悪い訳でも無い。

「相手は、病気や障害があって、正論や理屈が通じないのだ」という理解・納得が解決への第一歩だったりする。
そうすると、相手に対して怒りを覚えたりすることもなくなれば、その一方で自分を責めることもなくなる。

 

そのようにして、まずは家族内の問題に対して、客観的に冷静に俯瞰することをお話させていただくケースは多い。

老親の財産管理・身上監護における子供間の主導権争いも、相続発生後の遺産争いも、夫婦間の離婚・財産分与・養育費を巡る問題も、共有不動産を巡るトラブルも、賃貸不動産における滞納家賃や立退きの問題も、多重債務の問題も、様々なご相談を受けている中で、相手が自分と同じ価値観(経済合理性や金銭感覚)を持っているとは限らない事実を理解・納得するだけで、今抱えている大きなストレスが減少できる可能性がある。

法律的な問題や金銭で解決し得る問題は、通常は弁護士を立てて話合いや調停に臨めば解決できると思ってしまいがちだが、現実はそうではないことが多い。
弁護士を就けても、事態が好転しないケースはあるのだ。

その場合は、自分の持っている価値観で物事を考えるのではなく、相手方が持っている独自の価値観・こだわりを探って、解決の糸口を図ることも必要になってくる。

 

小生にご相談いただいても、解決までサポートできるとは限らないが、前述のとおり、家族内の問題、不動産の問題、債務の問題などについて、弁護士を立てる前に、自分で抱えている悩み・ストレスの軽減と解決への方向性を見定めるための相談を一度小生にしてみるのも検討いただきたい。

 

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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