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国税庁が「タワマン節税」にメス!

6月 27, 2023

6月27日付日本経済新聞1面トップ記事によりますと、国税庁がいわゆる「タワマン節税」の防止に向け、相続税におけるタワーマンションの相続税評価の算定ルールを見直す方針を固めた、という。

新ルールの適用は、2024年1月1日以降を目指すという。

 

これまでマンションの相続税評価額のルールは、1964年の国税庁通達が根拠となっている。それによると、相続税における財産の評価は、本来「時価(実勢価格)」に基づくものとされているが、土地や建物の時価評価の算定は難しいので、便宜上、土地は「路線価」建物は「固定資産税評価額」を評価基準にしてよいとなっている。

1964年当時は想定していなかったタワーマンションについては、人気で時価が高い高層階ほど相続税評価額との差が大きく、課税の不公平が生じているとの指摘がかねてよりあった。

たとえば、時価1億円のタワーマンションを親が買ってから相続を迎えると、相続税評価額金3,000万円前後に抑えられることもある。このようにして、納税額の圧縮効果を最大限活用して相続税の申告を済ませた後、このマンションを売却すると、また金1億円の売却代金を得ることができる。これこそが「タワマン節税」「マンション節税」の神髄と言える。

 

国税庁は、行き過ぎた「タワマン節税」にメスを入れるべく、相続税評価額の算出に実勢価格を反映する新たな計算式を導入する。マンションの評価額と実勢価格との差が約1.67倍以上の場合には、相続税評価額が上がることになり、高層階のマンション所有者ほど税額が増えることになる。新ルールにおいては、相続税評価が従来の2倍になるケースもあり得る。

値が下がらないどころか、どんどん価格が上がっている都心部のタワーマンションについては、居住用、投資用(賃貸用)、相続税対策用と様々な用途で人気を博している。

国税庁の新ルールにより、どこまでマンション価格に影響が出るのかどうか、動向を見守りたい。とは言え、現預金で1億円を持っている人が、時価1億円のマンションを購入すれば、新ルールでも評価額の3割前後の圧縮効果は依然見込めると言える。

 

以上を考えると、この新ルールが与えるマンション販売の現場に与える影響は、それほど大きくないのかもしれない。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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