2/18付日本経済新聞朝刊によると、デジタル庁は、企業が商号や住所を変える際に商業登記を書き換えるだけで税や営業許可といった各省庁が持つ登録内容を一括で変更できるようにする仕組みを導入するという。
各省庁がバラバラに扱う公的情報を商業登記で一括管理できる仕組み、いわゆる商業登記のデータベース化について、来年の2025年度中の運用開始を目指している。さらに、商業登記のほか、不動産登記や住所表記などもそれぞれ一括のシステム構築を想定するという。
法務省が管轄する商業登記のデータベースに企業情報の変更を申請すると、各省庁(税務署なら法人税、年金なら年金事務所、給付金や営業許可なら所管省庁)が持つ企業情報が自動的に更新される。
これにより、企業にとっては事務負担が減り、生産性が高い業務に人員を振り向けられる。また、行政側にとっても煩雑な業務が大幅に軽減されるので、人員削減による行政運営のコストカットにもつながる。企業側・行政側双方にとって多大なメリットが生まれる可能性がある。
企業による商号や本店所在地、資本金、役員などの変更登記は、年間で80万件を超える。変更登記が1件あると、税務署への届出や社会保険手続きなどで約7件の変更事務が生じると想定すると、年間で少なくとも500万件超の手続きが生じている計算になる。
この500万件超の手続きが省略される見通しだとのことで、縦割り行政の弊害を少なくし、利便性の高い公共サービスに向けた改革が進められることは歓迎したい。
司法書士も税理士も社会保険労務士も、企業側の変更に伴う各種手続き(変更登記や所管省庁への届出事務)を担っているが、これからの時代に、手続きの代行を生業にするのは難しいことは以前から分かっていること。司法書士・税理士等の“士業”は、変更に伴う手続き代行としての存在ではなく、変更をするかしないか、変更するならいつすべきか等、企業の経営判断・実行判断に関わるコンサルティング分野に特化していく必要性が益々高まっている。