その他雑感 司法書士のつぶやき

相続税の課税対象者

5月 7, 2012

先日の新聞記事で、2010年中に亡くなった方の相続税に関するデータが掲載されていた。
それによると、1年間で亡くなった方のうち、相続税の課税対象者(納税者)は4万9733人。
全体の4.2%だという。

相続税を申告さえすれば税額が発生しない方も多いので、実際に税務署に相続税の申告手続きをしている方は、その倍くらいで全体の10%程度だろうか。
つまり、100人に10人くらいの割合で相続税の申告が必要で、さらにその中の4人が実際に相続税を納めなければならないというのが現行の相続税の課税実態だろう。

これが、一昨年くらいから世間で騒がれ続け、未だに国会で法案が可決成立していない相続税法の改正が行われれば、申告しなければならない方は、100人中20人を超え、納税しなければならない方も現状の倍以上の10人くらいになるのではないかと言われています。
ちなみに、相続税の改正により、下記の通り基礎控除額が40%減になりますし、それ以外にもいくつもの変更点により、大幅に課税対象者が広がります。

◆現状⇒ 基礎控除額:5,000万円+1,000万円×「法定相続人の数」
◆改正案⇒基礎控除額:3,000万円+600万円×「法定相続人の数」

都内近郊に自宅不動産を持ち、相続人が2・3人程度の家庭では、普通に相続税について、対策を考えておかなければならなくなります。

人生最後の時期をどこで過ごすか?
老後を施設入所で過ごす場合、どのような施設に入るか?
同居の家族(相続人)は何人いるのか?
今から生前贈与しておくべきか?
思いもよらない論点がきっかけとなって、遺される家族の相続税額が大きく変わってくる可能性があります。

ネット等での情報も溢れていますが、杓子定規な回答、誤解を招く回答も多いようです。
ますます税務・法務の専門家の出番が必要な時代になります。
もっともっと多くの方々の相続対策のお役に立ちたいです・・・。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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