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生命保険金と遺留分

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≪対策3≫遺言信託の利用(問題点3と5の対策)遺産相続の手続きにおける遺産分割協議の際などに、生命保険金の取り扱いについてお問合せを受けることがあります。
契約者や被保険者、保険料負担者、受取人が誰であるかにより、生命保険金も相続税の課税対象にはなりますが、保険金受取人が被相続人自身でない生命保険金(死亡保険金請求権)は、受取人固有の権利(財産)として相続財産の中に含まれません

したがって、遺言書がない場合の遺産分割協議の対象になりません。

では次に、遺留分の対象になるかどうかですが、原則的には前述の理由により遺留分減殺請求の対象になりません
しかし、特別の事情が認められる場合には、死亡保険金請求権を民法903条の「特別受益」に準ずるものとして、いわゆる「持ち戻し」の対象となる、つまり遺留分減殺請求の対象財産になるとの最高裁判例があります(参考までに末尾にその要旨を掲載します)。

具体的な事例には、次のような事例を想定して頂くと分かりやすいと思います。
被相続人Aに甲及び乙の2名の相続人がいる場合において、乙がAの生前、度々お金を無心し困らせていた事情や定職にも就かず住所不定でAの老後の面倒を一切みていない事情等を踏まえ、Aは乙には遺産を残さず、甲のみに財産を残したいと考えています。
そこで、保有資産をすべて換価処分した上で、その現金を一時払いの生命保険料として支払い、2億円の生命保険に入ったとします(保険者:A、被保険者:A、保険金受取人:甲)。
将来Aが死亡した段階では、遺産はほとんど残っていませんが、甲は、相続財産ではない固有の権利として生命保険金2億円を取得することができます。
このようなケースにおいて、遺産がほとんどないにも関わらず、一方の相続人が高額な保険金を受け取っているので、他方の相続人との関係で「極端に」不公平になるとして、
この生命保険金が乙からの遺留分減殺請求の対象となる可能性が高くなります。

 

【平成16年10月29日最高裁決定】
被相続人を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の1人又は一部の者を
保険金受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が
取得する死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に
係る財産には当たらないが、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率、
保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相
続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続
人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照ら
し到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事
情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益に準じて持戻しの対
象となる。

※この判例により、死亡保険金請求権の相続財産性が明確に否定され、
また特別受益性も原則として否定されることになりました。

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