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「委託者の地位」と登録免許税

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宮田浩志
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世の中に出回っている家族信託・民事信託の契約書の文例において、「委託者の地位は、相続により消滅し相続人に承継されない」という条項を非常に多く見かけます。

このような条項を置くことの趣旨は、委託者兼当初受益者の死亡によって、「後継受益者」(委託者の死亡により信託契約が終了する“一代限り”の信託の場合は「残余財産の帰属権利者」)に指定されていない他の法定相続人に委託者の地位が引き継がれ、当該相続人が委託者の地位を活かし悪意をもって当該信託に対し妨害・攻撃するような行為することを防ぐためと考えられます。

しかし、“一代限り”の信託の場合は、もし委託者の生前において実行された受託者による財産管理に問題があった際には、委託者の地位を消滅させる条項があったとしても、故人の法定相続人としてその遺産についての直接の利害関係人として権利・異議を主張することはできてしまいます。

また、当初受益者死亡後の後継受益者の代になったときに、後継受益者が自分の固有財産をその信託財産に「追加信託」すること(後継受益者も財産を託す主体である委託者になること)は当然に想定しますので、実務上は、委託者の地位を消滅させ遮断する意味はあまりありません。

そのため、家族信託の実務においては、“受益者連続型信託”の際には「委託者の地位は、相続により承継せず、受益者の地位と共に移転する」旨の条項を置くことがベターとされています。

これにより、前述の他の法定相続人からの妨害・攻撃の懸念を少しでも防止することを意図できますし、これから申し上げます登録免許税法第7条第2項への対応も可能になります。

 

********************************

【登録免許税法】

第7条第2項

信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合であつて、かつ、当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合において、当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(当該委託者が合併により消滅した場合にあつては、当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人)であるときは、当該信託による財産権の移転の登記又は登録を相続(当該受益者が当該存続する法人又は当該設立された法人である場合にあつては、合併)による財産権の移転の登記又は登録とみなして、この法律の規定を適用する。

 

A1: いわゆる“一代限り”の信託においては、「委託者の地位」に関する条項自体を置いていないケース、あるいは「委託者の地位は消滅する」という趣旨の条項のみを置いているケースが多いと言えます。この場合に、信託の終了に伴う「所有権移転及び信託登記抹消」に係る登録免許税の軽減措置(原則2%の税率となるところを0.4%の税率が適用される特例)が受けられるかどうかのお問合せは非常に多いです。

 

前提として、登録免許税法の第7条第2項の適用を受けるためには、当該条項が規定している下記の3つの要件が必要であると言われています。

①信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合

②当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合

③当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人である場合

 

上記3つの要件のうち、①については、信託終了に伴い現在の登記簿の登記名義人となっている受託者から残余財産の帰属権利者に移すので、この要件は当然に満たすことになります。

③については、登記名義人たる故人(被相続人)からその法定相続人に「相続」を原因として所有権移転登記する際の登録免許税0.4%の考え方を信託終了に伴う登記にも準用しましょう、というものですからこの要件も問題ないでしょう。

従いまして、今回はこの②の要件を満たすのかどうかが大きなポイントとなっています。

 

これらのお問合せに影響を与えているのが、「平成30年12月18日名古屋国税局文書回答事例」だと思われます。この照会内容をこの場で紹介するのは紙面の関係で難しいので、詳しくは国税庁HPをご参照頂きたいです。

https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/sonota/181200/index.htm

 

まず、この照会事例に関して、一部の専門職の間でも誤解が多いようなので、改めてごコメントさせて頂きます。。

本照会内容を精査すると、信託契約において「本件信託に係る委託者の地位は、残余財産帰属権利者として指定されている乙が取得し、委託者の権利については、相続により承継されることなく消滅」する旨の定めがあることを前提とした照会となっております。

そして、残余財産の帰属権利者も信託後の清算中には、受益者とみなされることから、登録免許税法第7条第2項に規定された要件の一つである、「当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合」(上記要件②)に該当するので、登録免許税は2%ではなく特例措置の0.4%の適用ができるというのがその主旨です。

つまり、この照会事例は、「信託契約書において、委託者の地位が残余財産の帰属権利者に明確に引き継がれている場合には0.4%の適用を受けることができます。」と言っているに過ぎないのです。「委託者の地位が残余財産の帰属権利者に引き継がれる旨の記載が無い場合は、原則通り2%の適用になります。」と言っている訳ではないのですし、本照会事例の反対解釈として、そのような運用が明確に打ち出されたという解釈も成り立ちません。

これまでの実務の運用では、“一代限り”の信託の終了において、信託契約書に委託者の地位に関する条項が無くても、残余財産の権利帰属者が委託者兼受益者の法定相続人であれば、0.4%の適用を受ける運用がされていましたので(各法務局の登記官の個人的な法解釈に基づいて行われた、いわば“ローカルルール”は別として)、今後の登記実務の取扱いに関して明確な変更がない限り、特段の問題は無いものと考えます(委託者の地位に関する条項がない契約書であっても、実務上0.4%の軽減措置の適用が受けられないものではないと考えます)。

ただし、我々専門職としては、依頼人家族にリスクを踏ませることなくより確実に登録免許税の軽減措置の適用を受けることができる条項を信託契約書に盛り込む努力はすべきでしょう。

結論としては、“一代限り”の信託契約においても、委託者の地位に関する条項を敢えて置き、「委託者の地位は、残余財産の帰属権利者のみに承継される」旨の条項を置いた方がより確実でしょう、ということになります。

 今回の平成30年12月18日名古屋国税局文書回答を踏まえ、実務上少しでも憂いの少ない信託契約書の作成を目指すことを考えたときに、“一代限り”の信託であっても「委託者の地位」を明確に残余財産の帰属権利者にのみ移す旨を信託契約書に記載することは良策と言えるでしょう。

 

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