遺言書作成(遺言公正証書作成・遺言執行者就任)

遺言書の保管場所・預け先は? 貸金庫はダメ?

11月 30, 2015

作成した遺言書の保管場所は、かなり頭を悩ませる問題です。

簡単に見つかるところに保管しておくと、生前に家族に中身を見られてしまう可能性がありますし、反対にあまりにも見つかりにくいところに保管しておくと、せっかく書いた遺言書が誰にも発見されないということにもなりかねません。
特に自筆証書遺言は、控えをとっていたとしても原本しか効力がありませんので、その遺言書原本が発見されなかったり、紛失・毀損されてしまえば、遺言内容が実現できませんので注意が必要です。
保管場所に関しては、各人の状況によって様々ではありますが、一般的には以下のような保管場所・預け先が考えられます。

自宅内であれば

あ)耐火金庫
い)机の引き出し(鍵付き)
う)タンス
え)仏壇

自宅外であれば

ア)銀行の貸金庫
イ)後見人(任意後見人・法定後見人)へ預ける
ウ)遺言執行者となる相続人の1人に預ける
エ)司法書士・弁護士・行政書士・税理士などの法律専門職(遺言執行者)に預ける
オ)親友に預ける自筆で書いた遺言書の保管場所はどうすればいいですか?

自宅外ならば家族に見られ、干渉される心配はなくなりますが、第三者に託す場合には、死亡時の連絡方法等を事前に整えておかないと、遺言書が必要な時期に利用できない可能性があります。
また、親友などに預けておいても、遠方に引っ越してしまったり、先に親友が亡くなってしまうと、預けていた遺言書を入手できるかが疑わしくなります。

したがって、自筆証書遺言であれば、貸金庫に権利証・有価証券などと一緒に保管し、貸金庫に入っている旨を家族にきちんと伝えておくという方策が考えらえます。
ただし、そもそも相続後に貸金庫を開けるのは、法定相続人全員の協力がないとできませんので、貸金庫を開けるという作業に手間取ることもあり得ます。
もし貸金庫に手書きの遺言書が入っていることを家族が知らなければ、あるいは貸金庫を借りていることすら家族に知らされていなければ、遺言の存在に気付かないまま法定相続人で遺産分割の話し合いや遺産分割協議をやってしまうという事態が起きかねません。

つまり、自筆証書遺言であろうと公正証書遺言であろうと、遺言書を貸金庫に入れておくことはあまりお勧めできません。

 

もっとも堅実なやり方は、公正証書遺言を作成し、作成したことを家族にきちんと伝えておくことです(公正証書遺言は、万が一見付からなくても公証役場で再発行してもらえますので安心です)。
そして、遺言内容について家族(推定相続人)が知っている場合は、最も信頼できる家族の一人を「遺言執行者」にして、その者に遺言書を預けておくと良いでしょう(上記ウに該当)。
司法書士などの法律専門職を遺言執行者に指定している場合は、当該専門職に遺言書を預けておき、預けている旨を家族にきちんと伝えておくのが良いでしょう(上記エに該当)。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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