「固定資産税」と「都市計画税」は、その年の1月1日時点の所有者(個人法人問わず)に対して、1年分が市区町村より課税されます。 途中で売却等をして所有者が変わっても、1月1日時点の所有者が1年間分の納税義務者となります。
したがって、不動産取引に際しては、売買の残代金支払日(物件引渡日)をもって、日割計算による精算を行うのが慣例となっております。
つまり、買主は、売買代金の支払いに加え、日割り負担分の固定資産税と都市計画税の相当額(以下「固定資産税等精算金」といいます)を売主に支払うのが一般的です。 日割り精算の起算日については、1月1日又は4月1日を起算日とする方式がとられています(弊所は東京なので、1月1日を起算日とする方式がほとんどです)。
≪精算金の税務上の処理≫
次に、固定資産税等精算金の取り扱いについてみてみましょう。
◆買主の場合
買主が支払った精算金は、税務上「租税公課」ではなく、「売買代金の一部」とみなされます。 これは、買主に納税義務はないので、あくまで商慣例に基づいて売主に支払った金銭とされるためです。 したがって、税務上は、「契約書の売買金額+固定資産税等精算金」が売買代金とされます。 そうすると、建物の購入については消費税の課税対象となりますから、固定資産税等精算金も消費税の計算をすることになります。 売主に支払った固定資産税等精算金に105分5を乗じた金額を納めるべき消費税から控除することができます。
◆売主の場合
売主が受領した精算金は、前述のように「売買代金の一部」とみなされますので、「契約書の売買金額+固定資産税等精算金」を譲渡価格として、譲渡所得税の課税の有無(売却損益)を計算することになります。 また、消費税の納税義務がある場合は、建物分の固定資産税等精算金に105分5を乗じた金額の消費税負担も必要になります。
≪精算金の正確な算出が難しい場合≫
固定資産税等の納税通知書は、通常5月?6月頃にその年の1月1日の所有者宛に送られてくるため、1月から5月頃の売買取引においては、当該年度の正確な納税額が分かりません。
この場合、売主・買主の当事者間で、次の中から処理方法を決定することになるでしょう。
(1)納税通知書が届くまで精算を延期する。
(2)前年度の納税額をもとに仮精算して納税通知書が届いたときに再精算する。
(3)前年度の納税額をもとに確定的に精算して、事後の再精算しない。