相続登記・不動産登記(売買、贈与、抵当権設定・抹消など)

死因贈与契約に基づく登記手続きの必要書類について司法書士が分かりやすく解説!

10月 14, 2022

「死因贈与契約」とは、あげる人(=贈与者)ともらう人(=受贈者)の双方の合意に基づく「贈与」の一種ですが、贈与者が死亡したときに贈与の効力が生じる贈与契約のことを言います(民法第554条)。
死因贈与契約に基づく所有権移転登記の必要書類を分かりやすく解説します!

(1)登記原因証明情報
「登記原因証明情報」とは、死因贈与契約という登記の原因が存在することを証明する書類です。
死因贈与契約書が公正証書で作成されている場合と公正証書で作成されていない場合とで、登記原因証明情報の内容が異なります。

≪死因贈与契約書が公正証書で作成されている場合≫
①死因贈与契約公正証書の正本又は謄本
②贈与者の死亡した旨の記載のある除籍謄本(贈与契約の贈与者が死亡したことを証明)
③贈与者の死亡した旨の記載のある住民票除票

≪公正証書で作成されていない場合≫
①死因贈与契約書(私文書)
②贈与者の印鑑証明書(有効期限はありませんので、贈与契約当時のもので可)
③贈与者の死亡した旨の記載のある除籍謄本(贈与者が死亡したことを証明するもの)
④贈与者の死亡した旨の記載のある住民票除票

(2)登記識別情報通知(又は登記済権利証)
「登記識別情報」とは、従来の登記済権利証に代わるもので、1つの不動産かつ所有者一人につき1つずつ付与される12桁のパスワードのことを言います(不動産が1物件でも3名の共有なら、パスワードは3つ付与されます)。
このパスワード(これを日本語で表すと「登記識別情報」ということになる)が書かれた通知書のことを「登記識別情報通知」と言います。

(3)印鑑証明書
登記義務者の印鑑証明書は、誰が登記義務者になるかにより、下記のとおり異なります。

≪死因贈与契約書の中で「執行者」が定められている場合≫
①執行者の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)

≪死因贈与契約書の中で「執行者」が定められていない場合≫
①贈与者の法定相続人全員の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
②贈与者の法定相続人の関係を証明する戸籍謄本類一式

(4)住民票(又は戸籍附票)
登記権利者の住所を証明する書類として、受贈者の住民票又は戸籍附票(いずれも有効期限は無し)が必要です。

(5)固定資産税評価額を証明する書類
所有権移転登記手続きの際に法務局に収める登録免許税を算出するため、不動産の課税価格を証明するための資料として「固定資産税評価証明書」、又は「固定資産税課税明細書」(毎年4~6月頃に不動産所有者宛に送付されてくる固定資産税納税通知書に同封されてくるもの)、「名寄帳」(同一市区町村内でその人が所有している不動産が一覧となったもの)が必要です。

 

上記のとおり、死因贈与契約の内容・公正証書で作成したかどうか等により、実際に贈与者が亡くなって死因贈与契約に基づく所有権移転登記をする際の必要書類、手続きの煩雑さが異なります。

これから死因贈与契約を検討・実行する方は、法律文書の作成と登記手続きの専門家たる司法書士にきちんと相談されることをお勧めします!

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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