相続登記・不動産登記(売買、贈与、抵当権設定・抹消など)

土地建物を売却した際の税金 ≪譲渡所得税≫

10月 2, 2011

長期譲渡所得短期譲渡所得の区分と税率 >「譲渡費用」とは土地や建物を譲渡(※)したときに譲渡益が発生した場合には、「譲渡所得」として事業所得や給与所得などの所得と分けて計算し、申告することが必要です(分離課税)。 ※「譲渡」とは、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいいますので、売買以外にも、代物弁済、財産分与、交換、競売、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。

◆譲渡所得の計算方法 譲渡所得は、土地や建物を売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。

     ≪ 譲渡価格-(取得費+譲渡費用) ≫

 

「取得費」とは

取得費とは、当該土地建物を購入ときの売買代金や建築代金、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費を加えた合計額をいいます(なお、建物の取得費は、購入代金又は建築代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します)。 購入代金・建築代金のほか取得費に含まれる主なものは、次のとおりです(ただし、事業所得などの必要経費に算入されたものは含まれません)。

(1) 土地や建物を購入(贈与、相続又は遺贈による取得も含む)したときに納めた登録免許税(登記費用を含む)、不動産取得税、特別土地保有税、印紙税
※業務の用に供される資産の場合には、これらの税金は取得費に含まれません。
(2) 借主がいる土地や建物を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料
(3) 土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用
(4) 土地の測量費
(5) 所有権などを確保するために要した訴訟費用 例えば、土地を購入した後に当該所有権についての訴訟があり、これを解決するまでに要した訴訟費用のことをいいます。しかし、相続財産である土地を遺産分割するためにかかった訴訟費用等は、取得費になりません。
(6) 建物付の土地を購入して、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用
(7) 土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子
(8) 既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金

 

取得費がわからない場合

 

売却する不動産が先祖から代々引き継いできた土地であったり、取得した時期が古い何十年も前で何の資料も残っていない等の事情で取得費がわからない場合には、取得費の額を売った金額の5%相当額とすることになります。
また、実際の取得費が売却代金の5%相当額を下回る場合でも、5%とすることができます。 例えば、 土地建物を5,000万円で売った場合に取得費が不明のときは、売った金額の5%相当額である250万円を取得費とすることができます。裏を返すと、取得費の証明ができないと売却代金の95%が譲渡所得の課税対象になってしまうということです。

 

「譲渡費用」とは

譲渡費用とは、土地や建物を譲渡するために支出した費用をいい、譲渡費用の主なものは次のとおりです。

(1) 土地や建物を売るために支払った仲介手数料HE024_L
(2) 売主が負担した印紙税
(3) 売却に際して、借家人に家屋を退去してもらうために支払う立退料
(4) 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
(5) 既に売買契約を締結している不動産を更に有利な条件で売るために支払った、既存の契約解除に伴う違約金
(6) 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料
※ 譲渡費用とは売るために直接かかった費用をいいますので、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立て・回収のための費用などは譲渡費用になりません。

 

長期譲渡所得短期譲渡所得の区分と税率

土地や建物を売ったときの譲渡所得は、次のとおり所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の二つに区分され税率も異なりますので、税金の計算も別々に行います。

★長期譲渡所得:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの  ⇒⇒⇒ 所得税15%+住民税5%
★短期譲渡所得:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの ⇒⇒⇒ 所得税30%+住民税9%

※「所有期間」とは、土地や建物の取得の日から引き続き所有していた期間をいいます。この場合、相続や贈与により取得したものは、原則として、被相続人や贈与者の取得した日から継続して計算することが可能です。

 

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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