特定の法定相続人には、「遺留分」という民法上最低限の遺産の受け取り分が保証されていますので、遺言書を作成する際、この遺留分を考慮に入れる必要があるケースと必要がないケースがございます。
なお、「兄弟姉妹」や「甥姪」には、この遺留分を受け取る権利が認められていません。
「なぜ同じ法定相続人でも遺留分の権利に差があるのか」と疑問に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで今回は、兄弟姉妹に遺留分が認められていない3つの理由を簡潔にご紹介します。

兄弟姉妹に遺留分が認められていない3つの理由
理由その1:血縁関係が遠く、生活実態としても関係性が薄いことが多いから
今でこそ、独身の兄弟姉妹は少なくありませんが、昔は、男性も女性も結婚をして実家を出て、独立した生活を営むことが一般的とされていました。
そのため、被相続人とその兄弟姉妹が生計を共にしていることはあまり想定されないことから、法的には他の法定相続人と比べて、遺産を貰える期待感を保証する必要性が低いと考えられるためです。
理由その2:経済的に分離・自立して、生活保障の必要性が低いと考えられるから
兄弟姉妹は、被相続人と近い年齢であることが多く、すでに自分自身で収入を得て、経済的に分離・自立した生活を送っていると想定されています。
また、前述の通り、被相続人と生計を別にしている中で、被相続人の配偶者や子のように、被相続人の遺産をあてにしているとは想定しにくいと言えます。
つまり、遺族の生活保障を目的の1つとしている遺留分制度の趣旨からすると、遺産を最低限受け取れる権利を確保し、生活を保障する必要性が低いと考えられます。
理由その3:兄弟姉妹には代襲相続があり甥姪にも権利が発生してしまうから
「代襲相続」というのは、例えば相続人になるはずだった兄弟姉妹が亡くなっていた場合、その子(被相続人から見た姪や甥)が法定相続人になるという仕組みです。
もし兄弟姉妹にまで遺留分を認めてしまうと、この代襲相続人である甥や姪にも遺留分の権利が認められることになります。
そうなると、遺言書を作成して配偶者に全財産を相続させようとしても、血縁関係が遠い甥や姪に、遺言書の効力を一部覆されてしまう可能性があることになり、被相続人の意思を尊重する観点からは好ましくないと考えられます。
以上、今回は兄弟姉妹に遺留分が認められていない3つの理由を簡潔にご紹介しました。
遺言書の作成や将来の相続に備えることを検討されている方は、適切な法的知識をもとに的確かつ円満円滑な相続を実現するためにも、一度当事務所にご相談ください。


