後見人の職務である財産管理とは、被後見人の財産を適正に管理することです。 具体的には、
- 印鑑や貯金通帳の保管・管理
- 不動産の維持・管理
- 保険金や年金などの受領
- 介護サービス等の締結
- 必要な経費の支出
- 生活資金捻出のための動産及び不動産の処分
など広範囲に及びます。
この中で、預貯金の管理には特に注意が必要です。 被後見人の預貯金については、基本的に次のことに注意してください。
- 被後見人の名義で管理すること。
- 預貯金の口座は、管理しやすいようにできる限り整理すること。
- 安全確実な運用に心がけること。
預金口座については、その名義を後見人自身や第三者の名義にすることは許されません。
原則として、預貯金の名義は「成年被後見人○○○○ 成年後見人△△△△」としなければなりません。
このような口座をつくるためには、「成年後見に係る登記事項証明書」(全国の法務局又は地方法務局で発行)や「後見人選任の審判書謄本」(後見人選任後に裁判所から送付される)などの書類が必要になります(金融機関によって取扱いが異なりますので、詳しいことは各金融機関にお問い合せください)。
残高の少ない口座が多数あるような場合には、管理が煩雑になり、どうしても過誤が多くなり、後見監督の際には全通帳のコピーを提出することになりますので、非常に労力を要します。 したがって、小口の口座については、ペイオフ等を考慮しながら、できる限りまとめて管理することになります。
被後見人の財産管理は、安全確実であることが基本であり、投機的な運用は絶対に避けてください。
「利回りが良い」といって、被後見人の預貯金を用いて株や元本割れの危険性のある金融商品等を購入することは許されません。
万が一、損害が発生した場合は、当然ながら後見人に弁済していただくことになりますし、後見人を解任される可能性もあります。
被後見人の預貯金が、預金保険制度の保護の対象から外れていないかどうか、その金融機関の破綻危険性が高くないか、などについて十分に確認して、場合によっては他の口座に移し換えるなどの必要があります。