平成18年5月1日の会社法施行に伴い、旧商法・株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下「旧商法特例法」という)等の規定に基づき適法な任期中であった監査役が自動的に退任してしまうという問題がある。
特に、多くの中小企業にとって影響しかねない小会社に関する事案について2回に分けて説明しますが、
今回は、その2回目。
会社法施行時には小会社でないものの“小会社特例規定”の適用を受けている株式譲渡制限会社
“小会社特例規定”とは、旧商法特例法22条?25条の規定をいい、この規定の適用を受けている株式譲渡制限会社は、資本の額が1億円を超えた場合であっても、当該会社の監査役はすぐに退任せず、1億円を超えた後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時まで任期が伸長されていた(旧商法特例法26条3項)。
“会社法施行時に小会社であった株式会社の定款には監査役の権限を会計監査に限定するとする規定があるものとみなされる”という整備法53条は、会社法施行時点で現に小会社である会社のみを対象とする規定である。
したがって、会社法施行時において、資本の額が1億円を超えている会社は、整備法53条の適用を受けず、このため、従前の監査役は会計監査権のみならず業務監査権にまで権限が拡大することとなる。
その結果、会社法336条4項3号の監査役の権限が変更される場合にあたるので、前述の旧商法特例法26条3項の適用を受け任期が伸張されている会社であっても、会社法施行と同時に監査役の任期が満了することとなる。
施行時における現任監査役の任期満了を回避する方策としては、施行日前の株主総会において、監査役の権限を会計監査権に限定する旨(会社法389条1項)の条件付定款変更決議をしておくことが考えられる。
【ポイント整理】
小会社特例規定適用の非公開会社で施行時に資本金が1億を超える会社
⇒小会社でないゆえ整備法53条(定款のみなし規定)の適用なし
⇒施行時点で監査役に業務監査権が拡大
⇒会社法336条4項3号の適用により監査役が任期満了退任
会社法施行における監査役の任期の問題 2
2月 22, 2007