離婚協議・財産分与・養育費

財産分与の法律的性質

6月 17, 2024

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▼財産分与
・財産分与とは
・協議で決める場合
・決まらない場合はどうすればよいか
・婚姻中の財産とは
・財産分与の法律的な性質
・慰謝料と財産分与の関係
・いつの時点を基準として財産を評価するか
・財産分与の割合
・財産分与はいくら請求できるか
・財産分与の対象となる財産には何があるか
・夫名義の預金は財産分与の対象か
・入籍前の同棲期間中に貯めた財産は財産分与の対象か
・「へそくり」は財産分与の対象か
・不倫をした相手には財産分与しなくてもよいのか
・住居を購入する際、夫の両親に出してもらった頭金は財産分与の対象になるのか
・財産分与に税金はかかるか
・支払う側の税金
・受け取る側の税金
・居住用不動産の財産分与(1)財産分与として渡す場合
・居住用不動産の財産分与(2)財産分与のために売却する場合
・居住用不動産の財産分与(3)婚姻期間が20年以上の夫婦の場合
・居住用不動産の財産分与(4)ローン付居住用不動産
・離婚の財産分与請求権の時効
・離婚後も財産分与の請求はできるか
・一度放棄した請求権は取り戻せない
・離婚に際して財産を隠そうとしている場合の対処法
財産分与とは
婚姻中にお互いが築いた財産を清算することです。たとえ名義は一方の配偶者となっていても他方の協力があってのことであり、潜在的に夫婦共有財産と考えられます。妻が職業を持っていた場合も、持っていなかった場合も同様です。離婚原因がある側からも請求できます。
財産分与とは、結婚中に形成した夫婦共同財産を清算して分けることです。夫婦は共同生活をしている間、協力して一定の財産を形成しますが、それは多くの場合、夫名義の財産とされます。しかし、夫名義の財産とされるものでも、その実質が妻の協力貢献によって形成維持されたものについては、離婚の際に、貢献の割合に応じて清算されるのが普通です。
財産分与は当事者双方の一切の事情を考慮しますので、婚姻以前から所有する財産、あるいは相続により取得した財産であっても、財産分与をする上で夫の所有する財産は、支払能力ということで影響を与えることも否定できません。
なお、現実の財産分与の支払いは、慰謝料と合算する場合が多く、家庭裁判所の統計も合算して出しています。普通のサラリーマンで、財産分与と慰謝料を合わせて200万から500万円が典型です。
協議で決める場合
財産分与を確実に受け取るためには、一括払いにすることです。分割払いにするときは、初回の支払額をできるだけ多く設定するようにします。
支払の期間、支払金額、支払方法について具体的に決めておく必要があります。
【関連ページ】離婚協議書
【関連ページ】公正証書の作り方
※当事者間で話し合って取り決めたことは、「離婚協議書」などの合意文書として書面に残しておくようにします。
※個人の合意文書だけでは法的な強制執行力はないので、合意内容を強制執行認諾文付きの「公正証書」にしておきましょう。
決まらない場合はどうすればよいか
夫婦の協議で決まらない場合には、家庭裁判所に財産分与請求の調停を申し立てます。調停が不成立であれば、手続きは移行して審判になります。
離婚訴訟を提訴する場合は、財産分与の申立ても合わせて地方裁判所にすることができます。
婚姻中の財産とは
結婚中の財産は、一般的に以下の3つに分類されています。財産分与の対象となる財産は、「共有財産」と「実質的共有財産」です。「特有財産」は財産分与の対象にはなりません。
特有財産
結婚前から各自が所有していたもの。結婚中に一方が相続したり贈与をうけたもの。各自の装身具等社会通念上、各自の専用品と見られるもの。
共有財産
夫婦の合意で共有とし、共有名義で取得した財産、共同生活に必要な家財・家具等。
実質的共有財産
結婚中に夫婦が協力して取得した財産で、夫婦の一方の名義になっているもの。
※特有財産でも配偶者がその財産の増加に貢献しているような場合、分与の際にこの寄与度を考慮することになります。
※共働き夫婦で、生活費をお互いの収入に応じて出し合い、残りを各自が貯金していた場合、その貯金は固有財産ということになり、財産分与の対象にはなりません。
財産分与の法律的な性質
財産分与というのは、婚姻中にお互いが築いた財産を清算することですが、法律的に財産分与が意味する範囲はたいへんに広く、法律的に認められている財産分与の性質は次のとおりです。
清算的財産分与(婚姻中の共有財産、実質的共有財産の清算)
財産分与の中心になります。
扶養的財産分与(離婚後の弱者に対する扶養)
離婚によって生活ができなくなる夫婦の一方の暮らしの維持。経済的に弱い立場にある配偶者が、自立をするまでの援助として支給されるものです。清算的財産分与も慰謝料も請求できない、あるいはできたとしてもそれだけでは生活できないときに、これを補うために請求できます。支払期限については3年程度といわれています。
慰謝料的財産分与(離婚による慰謝料)
最高裁判所は財産分与に離婚による慰謝料を含めることができるとしています。財産分与に慰謝料が含まれて、精神的な損害に対して十分に補てんがされている場合、配偶者の不貞行為などを理由として、別に慰謝料を請求することはできません。慰謝料的財産分与を含めて財産が分与されても、精神的苦痛に対して十分に補てんされたとはいえないと認められる場合には、別に慰謝料の請求ができます。
過去の婚姻費用の清算
多くは婚姻中に「婚姻費用分担請求」というかたちで処理されます。
▼扶養的財産分与
清算的財産分与の対象となる財産がない場合、扶養的財産分与の請求を検討します。この場合、自分の生活収入で生活できるようになるまで何年くらいかかるか、その間、生活費としていくらくらい必要かを離婚前の生活費を参考にして考えてみる必要があります。
扶養的財産分与が認められる基準としては、自立の援助のほかに、高齢である、病気である、子どもの監護のためなどがあります。
子どもの監護で認められる場合は、子どもを引き取り監護することで本人の経済的自立が困難になるため扶養が必要であると判断されるからです。
精神疾患などを負った配偶者への扶養的財産分与では、その配偶者が死亡するまでというかなり長い期間の支払いが命じられることもあります。
清算的財産分与ができなくても、扶養的財産分与では分与の義務を持つ配偶者に扶養能力ががあるかどうかが問題となるため、その配偶者が持つ財産が対象となります。
扶養の能力があることが必要ですので分与の義務があっても資産がない場合には、認められないこともあります。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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