離婚により相手方から慰謝料及び財産分与として金銭や不動産等の資産をもらった場合でも、通常は贈与税の対象となりません。
これは、相手方から「贈与」を受けたのではなく、夫婦の婚姻期間中に築いた共有財産の精算としての“財産分与”と精神的苦痛に対する損害賠償的性質の“慰謝料”の給付を受けたに過ぎないという考え方だからです。
ただし、次の二つに当てはまる場合には、贈与税の対象となります。
(1) 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の価額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
⇒この場合は、その多過ぎる部分に贈与税が課税ことになります。
(2) 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合(つまり、“偽装離婚”)
⇒この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。
※調停・審判・裁判で財産分与等による財産給付が決定した場合は、一般的には非課税とないます。また、両者の協議により分与額が決められた場合でも、客観的にみて違和感のある程度の多額の給付額がある場合以外は、非課税となるでしょう。
なお、土地や家屋などを分与したときには、分与した側に譲渡所得税が発生する可能性がありますので注意が必要です。
その他、離婚や財産分与に関する税金については、弊所の下記記事をご参照ください ↓↓↓
『離婚に伴う財産分与と税金』