理論上、信託財産に特段の制限はありません。
したがって、現金、有価証券(株や投資信託、国債等)、不動産、債権(賃料債権や売掛金、養育費等の定期給付債権など)、生命保険金、ゴルフ会員権、リゾート会員権、自動車、船舶、知的所有権(特許権や著作権、意匠権等)、動産(地金や骨董品等)・・・、あらゆる財産的な価値のあるものが信託財産として利用することができるといえます。
ただし、基本的に信託銀行で取り扱える信託財産は、当該銀行に預け入れている預金債権となっています(預金債権以外では、信託銀行と生命保険会社が連携して「生命保険信託」という商品を販売しております)。
この点において、信託銀行を受託者として信託を組むことの限界があり、個々のニーズに即した使い勝手のところで少々難が出てくる可能性があります。
信託の仕組みを利用したい、あるいは信託を利用すべきというケースの中では、信託財産が現金・預貯金というケースはむしろ稀で、信託財産に不動産等を組み込みたいという需要は圧倒的に多いからです。
信託銀行ではなく、信託会社でれば、ある程度柔軟な対応が可能かもしれませんが、個々のニーズに即した信託の枠組みを構築するにおいては、信託銀行や信託会社を通さず(「商事信託」ではなく)、親族間等での「家族信託」の可能性を模索することの意味は大きいと考えます。
まずは、家族信託に精通した法律専門職に相談をし、何を実現するために、老親のどの保有財産をどうすべきかについて、その専門家を交えて家族会議でしっかりと話し合うことが重要です。