家族信託には専門用語が多く、知らない用語に頭を悩ませている方も多いでしょう。
それぞれの用語をきちんと理解することで、家族信託を有効活用できます。そこで今回は、家族信託の「信託事務処理代行者」について簡単に解説します。

家族信託の「信託事務処理代行者」とは?
家族信託の「信託事務処理代行者」とは、家族信託の契約に基づく財産管理に関する事務処理業務(以下、「信託事務」という。)を受託者に代わって担う人のことを言います。
受託者は、原則として自ら信託事務の処理をすべきとされます。いわゆる受託者の「自己執行義務」というものです。
しかし、家族信託の受託者は、通常、法的な専門知識を持たない一般個人の方です。
そのため、信託事務のすべてを受託者が担うというのは、現実的でないばかりか、各分野の専門家に信託事務を委託した方がより適切かつスムーズな処理ができることになりますし、最終的には受益者のメリットにつながるものと言えます。
例えば、信託財産として管理を託されたアパートの賃貸経営を管理会社に管理委託するケース、信託不動産の修繕・解体・建て替え工事を専門の業者に依頼することなどが典型的です。
そこで、信託法第28条(末尾に条文を記載)では、信託事務の処理を第三者に委託することができると規定しています。
家族信託の契約書ではどう定めておくか
家族信託の契約書の中では、信託事務を第三者に委託することができる旨を規定しておくことが一般的です。
契約書の条文中に「信託事務処理代行者」という文言として記載されているケースとそうでないケースがありますが、少なくとも「受託者は、業務遂行上必要と認めた場合、第三者にその業務の一部を行わせることができる」旨を盛り込むことが一般的です。
信託事務処理代行者へ委託する際の責任
受託者が信託事務の処理を第三者に委託するときは、信託の目的に照らして適切な者に委託しなければならないとされています(信託法第35条第1項)。
従いまして、前述の例でいうと、受託者は信頼できる管理会社を見極め、その会社に賃貸業務を委託しなければなりませんし、修繕工事や建物解体工事、建物の建替え工事などについても適切な施工業者・解体業者を探す義務があると言えます。
また、委託すればお役御免という訳ではなく、第三者(信託事務処理代行者)に対し、委託した信託事務が適切に行われているかを監督する義務もあります(信託法第35条第2項)。
なお、受託者は、その監督につき適切に行った場合には(故意過失が無ければ)、当該第三者の故意又は過失によって信託財産に生じた損失については責任を負わないこととされています。
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【信託法第28条(信託事務の処理の第三者への委託)】
受託者は、次に掲げる場合には、信託事務の処理を第三者に委託することができる。
① 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託する旨又は委託することができる旨の定めがあるとき。
② 信託行為に信託事務の処理の第三者への委託に関する定めがない場合において、信託事務の処理を第三者に委託することが信託の目的に照らして相当であると認められるとき。
③ 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託してはならない旨の定めがある場合において、信託事務の処理を第三者に委託することにつき信託の目的に照らしてやむを得ない事由があると認められるとき。
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以上、今回は、家族信託の「信託事務処理代行者」について簡単に解説しました。
家族信託の検討・実行に際しては、信託法の知識はもちろん、成年後見制度、遺言等の民法知識、不動産実務・金融実務など様々な知識が必要になります。
だからといって、インターネット上の真偽が怪しい情報、玉石混交の情報から知識を得ようとすると、間違った判断や不必要なアクションをしたり、過度の不安を感じることも少なくありません。
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