2018年2月21日付朝日新聞の朝刊で「家族信託」が取り上げられました!
内容としては、老親の認知症等が進行すると、“家の売却”や“預金の解約”に際しての「本人確認手続き」ができなくなる。
その結果として、老親自身が家の売主になることや、預金の解約払戻し手続きをすることが不能になるという実情を記事は書いています。
いわゆる“認知症による資産凍結”と言われるものです。
その対策として、老親が元気なうちに、信頼できる子に不動産や現金の管理・処分の権限を託しておくという『家族信託』が注目されていると記事となっています。
記事全体を通して、分かりやすく書かれていますが、一点だけ誤解を招きかねない記載があるので、ここで注釈しておきます。
記事の中では、父が認知症になり、父に成年後見人が就くと、父名義の資産は原則父のためにしか使えず、有料老人ホームに入所したい母(被後見人の妻)の介護費用は賄うことが難しくなる、という部分です。
執筆者側の悪意は微塵もないことは分かりますが、成年後見人業務を多数行っているミヤタからみると、読者にやや不安をあおりかねない文章の可能性を感じます。
と言いますのは、成年後見制度では、被後見人(父)の扶養家族である配偶者の生活すら支えられない恐れが出てくる、よって「家族信託」を導入すれば、そんな憂いが無くなる・・・、といった家族信託の導入を過度に推奨するような記事とも捉えられかねません。
実際の現場では、成年後見人は、保有資産の内容が許せば(資産に余裕があれば)、被後見人の扶養家族の分まで被後見人の財産から充当することはしています。
つまり、有料老人ホームに入る配偶者の入所費用も成年後見人は支払うことができると言えます。
それはさておき、この記事で一番言いたいことは、『老親が元気なうちに、様々な選択肢を検討できるように家族信託にも精通した専門家を交えて、親子できちんと話し合う機会を設けましょう!』ということに他なりません。
遺言や成年後見制度(任意後見契約)、生前贈与、生前売買、生命保険の活用・・・、といった様々な選択肢を比較検討し、その結果としてベター・ベストな方策を実行・併用することは、老親の生活・人生をこれから先もサポートいくには不可欠な工程だと思います・・・。