2020年10月21日付日本経済新聞によると、東京海上日動火災保険は、日本M&Aセンターの傘下のバトンズ社と提携し、小規模企業のM&A(合併・買収)向け保険を始めるという。
会社買収後に発生した損害を補償する保険を企業のデューデリジェンス(資産査定)とセットで提供することで、買収前後の不安・リスクを最小限に抑え、小規模企業の存続・事業承継を支援する。
東京海上とバトンズ社が保険契約を結び、買主企業が被保険者となる仕組みで、小規模な承継で発生しがちなトラブルに特化して、金39万8千円の定額で査定と保険を提供する。
買収金額が1億円以下のM&Aを対象に今月から開始するそうだ。
買収後に発覚する簿外債務や未払い賃金など財務と労務のトラブルに限定して金300万円まで補償するとともに、補償を充実させたい場合は、任意で上乗せもできる。
これまで、小規模なM&Aでは、買収後の数百万円のトラブルでも経営に大きな打撃を与える上、かけられる予算が限られて査定が十分にされない事例も多く、買収に伴うリスクを算出し難かった。
コロナ禍で経営悪化による事業譲渡の増加が見込まれている中で、査定と保険の両面で円滑な承継を支援するという。
これまで叫ばれていた後継者不在による事業存続・事業承継の問題は、コロナ禍でより深刻な問題となっている。
優れた技術・ノウハウを持つ日本企業がこの苦難を乗り越えることを祈ると共に、事業承継・企業法務のコンサルティングを担う弊所もその一端を担えればと切に思う。