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GW中に家族会議で話しておきたい「親の介護」と「資産凍結リスク」

4月 21, 2021

コロナ禍で迎えるゴールデンウィーク。

「まん延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」下では、観光・レジャー・帰省での外出もままならない連休となります。

そこで、是非とも70代以上の親御さんを持つ方々には、このGWに家族が集まって「家族会議」を開いて頂きたいです。
もちろん、遠方のお住まいの方は、ZoomやSkype等のオンラインで繋ぐことも良いでしょう。

 

◆「家族会議」の議題とは

「家族会議」を招集してお話頂きたい議題は、ズバリ「親の介護方針」「資産凍結リスク」です。

人生100年時代と言われ、80代でもまだ先は長いと認識する必要がある時代を迎えました。
それと共に医療技術、介護技術の進歩発展で、“ピンピンコロリ”となることはむしろ稀で、誰しも要介護状態で医療・介護のお世話になりながら最期の時を迎える可能性が高い時代となりました。

そのため、まずは100歳まで生きることを前提に、今後の年金やアパートの家賃収入、株の配当などの「月額ベースの収入額」と、普段の生活・介護に使う「月々の支出額」のバランスをしっかりと認識する必要があります。

また、さらにはもし在宅介護が難しくなれば、高齢者施設に入所する事態も想定しておく必要があり、お住まいのエリアもしくは希望するエリアの高齢者施設の入所一時金や毎月の施設利用料の相場も把握しておくと備えとして安心材料が増えます。

両親が健在の場合、ご両親の年金収入で現在は収支プラス又は収支トントンでお暮しの方も多いようです。
また、もし両親のうち一方が施設入所しても、年金の中でやり取りできる方も少なくないです。
一方で、もし両親が共に入所や入院をしてしまったら、年金収入ではまかないきれず、預貯金を食い潰さざるを得ない方がほとんどです。
そこで、両親の保有する現預金の額も把握し、両親が仮に二人とも施設入所した上で長生きしてくれた場合のシミュレーションをしておくことがお勧めです。

もしそのシミュレーションの結果、現預金が底を尽きるリスクがある場合、両親が保有する自宅や株式等の有価証券を売却することも視野に入れ、対策を検討することが必要となるでしょう。

両親の財産を換価処分する可能性を踏まえたときの対策として最有力の選択肢となるのが『家族信託』です。
ここでは、『家族信託』についてのご説明は割愛しますが、家族会議において、両親の保有資産と月額の収支シミュレーションを情報共有するところから、是非始めて頂きたいです。

 

◆預貯金の“凍結リスク”は高い

両親の月額の収支シミュレーションをして、両親が保有する不動産や有価証券を換価処分する必要性が無さそうだといった家族でも、注意が必要です。
それは、両親名義の預貯金の“凍結リスク”です。

ここでいう「預金凍結」の意味は、相続発生後における「完全凍結」(入金も出金も一切できない状態)ではなく、年金受取や公共料金等の口座引落、ATMからの少額の引き出しは従来通りではあるが、金融機関の窓口で必要な時に高額な金額を引き出せなくなるという意味での「預金凍結」です。
また、定期・積立預金は、そもそも名義人本人でなければ解約できなくなります。

その結果、預金名義人たる親自身が窓口で本人確認をうけて引き出すことができないような健康状態になれば、入所一時金や自宅のリフォーム代といったまとまった金銭を用意することが難しくなります。

なお、「ATMにおいて親のキャッシュカードで子がいつでも下ろせるから大丈夫!」と思っている方でも、いつキャッシュカードが磁気不良を起こすか分かりませんので、カードの再発行手続きは預金名義人本人でないと原則できません

つまり、親を生涯支える長期的なサポート体制を想定した場合には、キャッシュカードによる預金管理も脆弱であることもリスクとして認識しましょう。

 

以上のように、親の介護方針、介護予算、生涯の収支予測、親の資産凍結リスクについて、親と子で情報共有・共通認識を持つことが非常に重要です。
その際に、法律的な部分、税務的な部分で不明な点・不安な点等が生じれば、次回は、専門家を交えた「家族会議」を開いて不安や不明な点を解消しながら検討を進めて頂きたいです。

 

「家族会議」「家族信託」に関するご相談は、弊所までお気軽にお声掛け下さいませ!

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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