6/11付の読売新聞によりますと、法制審議会は6/10に「成年後見制度」について中間試案をまとめたとのこと。
理解力の低下した認知症高齢者や脳梗塞等の大病で意思表示や物事の判断ができなくなった方、知的障害者、精神障害者などが利用し、本人に代わって「財産管理」や「契約行為の代理」、「身上保護(入院・入所手続きや介護サービス・介護プラン策定など)」の任務を行う後見人の仕組みは、問題点・使い勝手の悪さなどが指摘されていた。
今回の中間試案では、それらの指摘を踏まえ、下記の4点が法改正のポイントとして挙げられている。
(1)必要性がなくなれば、制度利用を途中で辞められる(現行制度では、本人の判断能力が回復しない限り制度利用を途中でやめることはできなかったので、一旦後見制度を利用すると実質的に本人が亡くなるまで続けなければならなかった)
(2)後見人の権限の範囲につき、あらかじめ本人が同意する範囲にとどめられる(現行制度では、後見人が原則全ての契約行為の代理権を持っているので、本人の決定権が必要以上に制限されるリスクがあった)
(3)事前に後見制度の利用期間を設定する(現行制度では、期間が無制限なので、実質的には終身が原則となっている)
(4)後見人の交代をより柔軟にできるようにする(現行制度では、後見人が横領など重大な不正行為をしない限り、解任が認められなかった)
これらは、あくまで現段階での中間試案であり、最終的にどのような制度に改善されるかはまだ未定といえる。
また、実際に改正法が施行されて、実際の運用が変わるのは、今から3年くらいは先になるだろうと思われる。
成年後見制度と家族信託の実務を長年にわたり数多くやっているミヤタの立場からすると、後見制度の改善ももちろん大切だが、昨今巷にはびこっている成年後見制度に関する誤解をなくすことや成年後見制度・家族信託の実務に関する一部の専門職の知識不足・ミスリードを改善することも必須だと思われる。
また、横領はもってのほかだが、職務怠慢や高圧的な態度をとる専門職後見人への解任・罰則の強化も必要だと考える。
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