2020年8月14日付日本経済新聞の記事によると、知的障害者の親らでつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」(東京)が損害保険ジャパンと日立キャピタル損害保険と連携・協力し、障害者やその親が病気などで働けなくなった際の所得などを補償する団体保険の販売を始めました。
障害者本人らを対象にした所得補償保険は国内初ということです。
育成会は、47都道府県と8政令指定都市に組織があり、知的障害者の親ら10万人以上が会員になっているそうです。
保険に加入できるのは、会員か、家計を支えるその家族らで、保険内容にも様々なプランがあります。
例えば、30代男性で月に約2千円から約2600円の保険料を支払う場合、病気や怪我で働けなくなった際に、上限20万円で給与の6割を最長65歳まで受け取れます。もし亡くなった場合は、300万円を限度に葬祭費用と成年後見制度の手続き費用、法律相談費用が補償されます。
これまで、知的障害のある子を持つ親や家族から、下記のような声があがっていたのを受け、本人及び家族・親族の将来的不安を解消するのが狙いです。
●「自分たちにもしものことがあったら、障害のある子の生活がどうなってしまうのか不安」
●「障害のある子が働き始めたが、通常の所得補償保険に加入するのは難しい。病気などで離職、休職するリスクが心配」
●「自分が死んだあと、遺される子や家族に負担をかけたくない」
自分が亡くなった後、または高齢や病気により自分たちが障害のある子の生活を支えられなくなった際、遺される障害者(障害児)の生活・人生をどう支えるか、障害者(障害児)の兄弟などの家族に多大な負担をかけることのない仕組みはできないか、という問題を“親なき後問題”と言います。
“親なき後問題”については、画一的な解決策がある訳ではなく、各家族の家族構成やその年齢・居住場所、保有資産・収支状況などにより、取るべき施策が異なります。
例えば、代表的な施策は下記のとおりです。
★特定贈与信託
※障害者のご家族が信託銀行等に金銭等を信託し、信託銀行等が障害者に対して一生涯にわたり生活費や医療費などを定期的に渡す仕組み。この制度を利用すれば、障害の程度に応じて3,000万円または6,000万円を限度に贈与税が非課税になる。
※ 一般社団法人信託普及協会のパンフレットはこちら!
★ぜんち共済
※知的障がい・発達障がい・ダウン症・てんかんなど障害者向けの保険を取り扱う専門保険会社による病気や怪我による通院・入院・死亡の保証
★生命保険信託
※プルデンシャル生命やソニー生命、第一生命が行っている生命保険と信託を合わせたサービス。死亡保険金を信託財産として信託会社等に託し、受取人に対し、保険契約者が生前に指定した保険金の渡し方ができる仕組み。