成年後見(法定後見・任意後見)、高齢者等の財産管理

法定後見開始の審判申立について

12月 20, 2006

1.「後見開始」の審判申立の要件
本人が、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあること。
※「精神上の障害」=痴呆、知的障害、精神障害等
※「事理を弁識する能力を欠く」=分の行為の結果について合理的な判断をする能力(意思能力)がないこと
※「常況にある」=終始意思能力を欠く状態である必要ななく、一時的に意思能力を回復することはあっても、通常は意思能力を欠く状態であれば足ります。

2.申立権者
本人(審判を受ける方)、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官etc
※審判申立は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。

3.申立に必要なもの
◇申立人に関する書類(申立権者であることの証明書類)
・戸籍謄本 1通
※申立人と本人との親族関係を証明するために除籍・改製原戸籍・謄本が必要な場合もあります。

◇本人(審判を受ける方)に関する書類
・戸籍謄本 1通
・戸籍の附票 1通
・成年後見に関する登記事項証明書 1通
※東京法務局発行の「登記されていない事の証明書」又は「登記事項証明書」
・医師の診断書 1通
※精神科の専門医である必要はなく、掛かり付けの医者・主治医のもので結構です

◇成年後見人候補者に関する書類
・戸籍謄本 1通
・住民票 1通
・身分証明書 1通
※本籍地の市町村長発行の破産宣告を受けていない旨の証明書
・登記されていないことの証明書 1通
※東京法務局発行の成年後見に関する登記事項証明書

◇その他必要な資料
・本人の介護保険の保険証、障害者手帳、年金手帳、老人保健法の医療費受給者証、福祉手帳、その他各種福祉手当の受給者証(コピーでも結構です)
・本人の資産を証明する書類(不動産登記簿謄本・預貯金通帳・有価証券等)→当職で『財産目録』を作成いたします
・成年後見人候補者の経歴(学歴・職歴・生活歴)、病歴、家族構成、資産・収入、本人との身分関係、本人との交流の状況、後見の針等を記載した書面

4.申立にかかる費用
◇法定費用 約1万円 (収入印紙(800+2600)・郵便切手代)

◇鑑定料 約10~15万円
※一般的には10万円前後ですが、鑑定の内容により異なり、5万円で済むこともあれば、15万円以上かかる場合もあります。また、鑑定は必ず行われるとは限りません。鑑定をするか否かは家庭裁判所の判断になります。
※主治医等から鑑定を引き受けることについての内諾を得ていれば、申立書等にその旨を記載しておくと手続がスムーズになる可能性があります。

◇当職手続報酬 約10~20万円
※事案の複雑性や打合せ回数、出張の回数により報酬額に変動があります。

合計:約21万~40万円

※戸籍・住民票・固定資産評価証明書等の代理徴求の実費・報酬は、含まれておりません。

5.法定後見人の欠格事由(民法847条)
◇未成年者
◇家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人
◇破産者
◇被後見人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族
◇行方の知れない者

6.後見開始までにかかる日数
裁判所の調査・・・・・・・・・2~3ヶ月
医師による鑑定・・・・・・・・1~2ヶ月
※合計すると、最長で6ヶ月位かかる場合もあります。

7.後見制度利用に際しての注意点
預貯金の管理、不動産売却、遺産分割、債務整理等の処理のために後見開始の審判申立をされる場合であっても、その案件が解決したからといって後見人の仕事は終了いたしません。また、被後見人と後見人との財産をきちんと分けて管理・処分する必要があります。
後見人は、本人の財産及び生活の全般にわたって、就任の日から本人が亡くなるまで仕事をする責任・義務があります。 後見人候補者の方は、その責任・義務を認識した上で、ある程度後見制度や法律の知識を学ばれる心構えをお願い致します。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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