民事信託・家族信託について司法書士・宮田浩志からのメッセージ

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【辞任】
受託者が辞任をするには、信託行為に別段の定めがある場合を除き、原則、委託者及び受益者の同意を得て辞任することができます(信託法第57条第1項)。
なお、実務上は、「委託者兼受益者」という形態がほとんどですので、実質的に受益者単独の同意で辞任が可能ということになります。
受託者が辞任をしたい時点で、受益者側が認知症等で同意する能力を喪失している場合は、辞任ができないことになってしまいますので、その場合は、「やむを得ない事由がある場合」という信託法第57条第2項の規定に従い、「裁判所の許可」を得て辞任することになります。
なお、裁判所に対し、辞任の許可を申し立てる場合は、その原因となる事実(やむを得ない事由を証する事実)を疎明しなければなりません。受託者の義務と責任は重大ですので、受益者が不利益を被ってしまうこと等を回避するためにも、辞任をする際には裁判所の許可が必要とされています。
実務においては、裁判所に申し立てをするケースはほとんどないでしょうし、そのような煩わしい裁判所の手続きを排除するためにも、辞任せざるを得ない状況になっても困らないように備えたいというニーズがあれば、信託契約書の設計の段階で、辞任しやすいような条項を設けておくことも一考です(信託法第57条第1項但書による「別段の定め」)。
【解任】
委託者及び受益者は、いつでも、その合意により受託者を解任することができます(信託法第58条第1項)。
前述のとおり、実務上は、「委託者兼受益者」という形態がほとんどですので、実質的に受益者単独の判断で受託者の解任が可能ということになります。
暴走した受託者を解任したくても、その時点で受益者にそれを判断する能力が無くなっている場合に備えたいケースでは、信託契約書の設計の段階で、解任しやすいような条項を設けておくことも一考です(信託法第58条第3項)。
【新受託者の選任】
信託が終了等する前に受託者が「辞任」又は「解任」により不在となる場合、信託契約書において予め指定された後継受託者(第二受託者や第三受託者)がいれば、その者が新たな受託者となります。
後継受託者に関する定めがないとき、又は信託契約書に後継受託者となるべき者として指定された者が就任承諾をせず、若しくはこれをすることができないときは、委託者及び受益者は、その合意により後継受託者を選任することになります(信託法第62条第1項)。
受託者が後継受託者を選任すべきときに、受益者にそれを判断する能力が無くなっている場合に備え、実務上は、信託契約書の設計の段階で、第二受託者・第三受託者等の後継受託者の指名しておく条項を設けることも多いです。
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