株券電子化(株式のペーパーレス化)とは、「社債、株式等の振替に関する法律(以下「社債株式等振替法」という。)」により、上場会社の株式等に係る株券をすべて廃止し、株券の存在を前提として行われてきた株主権の管理を、証券保管振替機構及び証券会社等の金融機関に開設された口座において電子的に行うこととするものです。
現在においても、株券保管振替制度の活用により、株券そのものの受渡しや保管等の管理を株主自身が行わなくても売買や株主権の行使をすることができますが、一方で、株券を株主自身で管理し、株券の受渡しを株主自身が行う売買等も認められており、株式の譲渡や管理に当たり様々なリスクや非効率性が指摘されています。
世間では以前から株券電子化が叫ばれ、そのスタートも目前に迫ってきました。
では、株券電子化までに株主は何をすべきなのでしょうか?
株券電子化の実施に際して、すでに証券保管振替機構に預託されている株券については、一斉に新たな株式振替制度に移行できるように措置されているため、株主が特段の手続をとる必要はありません。
株式の売却もこれまでと同様に可能です。
つまり、そういう方には株券電子化は関係ありません。
株券電子化の方法
自宅や貸金庫などご自身で管理されている株券、いわゆる「タンス株券」については、下記の2つの対応方法があります。
証券保管振替機構に預託する
株券の証券保管振替機構への預託期限が平成20年12月19日とされていることから、可能な限り早めに証券会社等にご相談する必要があります。
本人名義であることを確認した上で管理を続ける(特別口座に自動的に移行)
平成21年1月5日をもって株券という券面の効果が無効になるだけで、株式(株主)の権利自体が無効となるわけではありません。
この場合、株主名簿上の株主の名義で、発行会社により設定される「特別口座」において株式が管理されることになります。
なお、株券電子化が実施される日までに株券を所有者本人の名義に書き換えていない場合、本人以外の名義の特別口座で管理されることになり、株式の名義を本来の本人名義に回復するには煩雑な手続が必要となります。
また、もし名義株主が勝手に株を売却してしまうと、本人の株主としての権利を失うおそれもあります。
したがって、もし株券の名義が他人名義となっている場合には、株券電子化が実施される日までに株券を所有者本人の名義に書き換えておくことが非常に大切です。
株券電子化のメリット
株券の電子化には、次のような多くのメリットがあります。
株主にとってのメリット
- 株券を手元で保管することなどによる紛失や盗難、偽造株券取得のリスクが排除できます。
- 株式の売買の際、実際に株券を交付・受領したり株主名簿の書換申請を行う必要がなくなります。
- 発行会社の商号変更や売買単位の変更の際に、株券の交換のため、発行会社に株券を提出する必要がなくなります。
発行会社や株主名簿管理人(信託銀行)にとってのメリット
- 株主名簿の書換にあたり株券が偽造されたものでないか等のチェックを行う必要がなくなります。
- 株券の発行に伴う印刷代や印紙税、企業再編(企業間の合併や株式交換、
- 株式移転など)に伴う株券の回収・交付のコスト等が削減できます。
- 株券喪失登録手続を行う必要がなくなります。
証券会社にとってのメリット
- 株券の保管や運搬に係るリスクやコスト等が削減されます。
- 株主が株券を証券保管振替機構に預託する場合や証券保管振替機構に預託された株券を引き出す場合の手続を行う必要がなくなります。