未収債権(売掛金・貸金・家賃等)の回収・裁判事務

売掛債権の上手な回収作戦 5つのPoint!

7月 4, 2007

HE035_LPoint 1 取引相手の信用力・支払余力・所有資産を事前に把握!
売掛金が焦げ付いたときに一番重要なことは、法的手段を行使しても最終的に売掛金を回収できる資産を相手が持っているかどうかに尽きます。取引相手が個人であれ法人であれ、資産がなければいくら催促しようが、勝訴判決を得ようが、さらには強制執行をかけようが、無いものは取ることができません。そこで、取引を開始する前に相手の信用力・支払余力・所有資産について情報を入手することは非常に重要と言えます。
個人であれば、自宅が持ち家なのか賃貸なのか、車や高価な動産を持っているか等を雑談の中で聞き出したり不動産登記簿を取得して調べたりした方がよいでしょう。法人であれば、取引開始前に最低限会社案内や会社謄本で会社の創業時期や役員構成、事業の種類を確認することが必要です。また、会社の本店所在地や代表取締役の自宅が持ち家なのか賃貸なのかということも簡単に調べられます。場合によっては、帝国データバンクを利用する方法も考えられます。
何はともあれ、取引開始にあたっての打合せは、なるべく相手方のオフィスで行うようにすることは重要でしょう。相手の調査も兼ねることができるので、後々のことを考えると、多少面倒でも相手方への訪問はリスク回避に役立ちます。

 

Point 2 主要取引先・メインバンクの把握!
Point 1 でも述べましたが、取引開始にあたって、会社案内等で主要取引先・メインバンクを把握するよう心掛けることが必要です。必要な情報としては、銀行名とその支店名まで分かればよく、口座番号まで把握しなくてもいいです。この情報を把握しておくことで、売掛金が焦げ付いたときにまず銀行預金や相手の持っている売掛債権を差押さえることが可能になり、回収を図りやすくなります。

 

Point 3 発注・受注・請求金額・支払期日についての証拠書面を残す!
お得意先との受注形態は、ともすると電話等の口頭によるやり取りで済んでしまいがちです。数量や請求額・支払期日もすべて口頭だと、後でトラブルになったとき、言った言わないで絶対にもめます。また、未収の売掛金を請求したい時に証拠資料が準備できなければ、訴訟になっても回収が困難になります。
発注書・請書・請求書に相当する内容のものは、最低限FAXまたはメールで証拠として残るようにやり取りするよう心掛けましょう。
継続的な売買等が想定される商取引については、当事者間でまず取引の根底となる約束事を決める「取引基本契約書」を取り交わし、その中で毎月の支払期日や振込先、遅延損害金の定め等を決めておくのがベストです。契約書の中で、厳しい遅延損害金や違約金の定めを規定しておくことで、相手方の履行を促す効果も期待できます。

 

Point 4 頻繁に電話連絡・訪問して近況把握!
催促目的の電話に限らず、とにかく頻繁に電話することで相手方の近況をうかがい知ることができます。今まで女性社員が電話に出ていたのに、最近は社長が直接出るようになったとか、電話に出るまでの呼び出しコール数が増えたとか、昼間なのに固定電話に誰も出ないことがあるとか、転送電話サービスや電話応対代行サービスを利用し始めたとか、相手方の不穏な動きや経営難を匂わす何らかの手がかりを掴むことができる可能性があります。
可能であれば、オフィスに訪問することがベストです。玄関や受付窓口が乱れていたり、段ボール箱が積まれていて荷造りしている雰囲気があればかなりの危険信号です。

 

Point 5 支払が遅れた相手には、支払期限を短くした新たな契約書を!
支払期日に遅れがちな取引先に、温情をかけすぎるのは禁物です。支払が遅れているタイミングで支払期日や支払方法、遅延損害金の取り決めを見直し、改めて契約書面を作成するのが良いでしょう。相手方は支払を延滞している手前、交渉の分が悪く、比較的要求が通りやすくなります。
また、支払期日を大きく過ぎた売掛金については、短期消滅時効の予防の観点からも改めて債務承認契約なり誓約書、合意書といった書面を作り直しておくことは大変有効です。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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