『家族信託』と『任意後見制度』を併用すること自体のデメリットやリスクは、あまり想定できませんので、老親が元気なうちにこれらの準備をすることは非常に重要です。
そして、主要な財産管理は家族信託で担い、信託財産に入れなかった主要でない財産の管理と身上監護権は任意後見で担うというのは、堅実な考え方と言えます。
ただし、任意後見制度を利用することにより、任意後見監督人への定期報告の事務負担(3~4ヶ月に1度)と任意後見監督人報酬という経済的負担が発生しますので、当然そのことについての理解と備えが必要です。
むしろ、特別な事情が無ければ、家族信託による主要な財産の管理と家族・子の立場(身分)として入院・入所契約や介護サービスの申込み、手術同意等の身上監護権の行使ができますので、実務上は、家族信託と任意後見を併用しないで済むケースも多いと言えます。
もっと言うと、成年後見制度を利用することによる上記の負担(事務負担・経済的負担など)を回避したいというニーズも非常に高いので、成年後見制度を使わないための手段、後見制度の代替手段として家族信託を活用される方は多いです。
個々のケースに応じて、家族信託だけで将来に備えるのか、家族信託契約を発動した上でもしもの時には任意後見も発動できるようにして将来に憂いを残さないようにするのか、家族信託と任意後見を併用することを前提に備えるのか、といった判断・設計をすべきですので、是非とも専門家に護送打談下さいませ。