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NHK『あさイチ』でも特集の「実家の処分」と「家族信託」について 【その3】

12月 31, 2021

12/22(水)放送のNHK朝の情報番組『あさイチ』では、「どうする?実家の家と土地」というテーマで特集がされました。
人気番組なので、全国各地で視聴された方も多いようです。
ここでは、『あさイチ』を見逃した方はもちろん、視聴された方にとりましてもお役に立てるように、小職の補足も含め、番組でご紹介された下記の「お悩みランキング」の10テーマを元に改めてご説明します。

 

→【その1】はコチラ

→【その2】はコチラ

 

 

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【お悩みランキング ベスト10】
1.そもそも どうやって売るの?
2.売りたいけれど売れなくて困っている
3.親が元気な間に準備できることは?
4.親・兄弟姉妹と意見が合わない。どうやって話せばいい?
5.共有名義でも大丈夫?
6.親が認知症などで意思確認ができない
7.農地・田畑はどうしたら?
8.離れた家の管理が大変
9.実家をたたみたいがなくなるのも寂しい
10.不動産会社の見極め方は?

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7.農地・田畑はどうしたら?

農地が都市計画上の「市街化区域」にあるのか、それとも「市街化調整区域」にあるのか、により農地についてできることが異なります。
「市街化区域」は、農地を積極的に非農地化できるエリアになりますので、各市区町村にある農業委員会に届出をすれば、その土地に戸建てやアパートを建てることも、駐車場にすることも、他人に売却することに可能となります。
一方の「市街化調整区域」は、農地を維持していこうという政策的エリアになりますので、農業委員会の許可が無ければ、非農地化することも他人に売却も贈与もできません。農地を維持する前提になりますから、一般的には、農業従事者への売却や贈与でないと許可は下りないと言えます。
農地行政はローカルルールがありますので、許可が下りるかどうかは、地元の農業委員会に直接相談をするか、農地の取扱いに詳しい地元の不動産業者や行政書士に相談することをお勧めします。

 

8.離れた家の管理が大変

離れた場所で暮らす子にとって、空き家となった自宅の管理は、大きな悩みの1つになりかねません。
空き家の管理をしてくれる地元の不動産会社を見付けることができれば安心です。
一方で、地元の自治体が運営する「空き家バンク」があればそこに登録をして、空き家の借主・買主を探すという選択肢もあります。
なお、お家は使わないと傷みが進むと言われますので、空き家の劣化を防ぐためには、下記のようなメンテナンスをすることが好ましいです。
・定期的な換気をすること
・定期的に上下水道に水を流すこと
・屋根・外壁の状態を見極め、必要に応じて修繕すること

 

9.実家をたたみたいがなくなるのも寂しい

親が高齢者施設に入所して実家が空き家になっても、親が元気なうちはいつでも戻れる場所として確保しておいてあげたい、親を看取るまでは実家の処分はしないでおきたい、という方も多いです。
大切なことは、空き家となった際の実家の維持に関するコストと親のその時点における保有資産・収支状況を想定したときに、親の経済的にも子にかかる負担としても、実家を維持することがリスクとならないかどうか、家族全員の話合い(家族会議)でしっかりと親世代・子世代が共通の認識を持つことです。
言い換えますと、実家を処分して親の介護費用に充てたい、実家の維持費にかかるコストを削って少しでも親の生活・介護費に予算を回したい、という方は、家族の総意として、親の存命中に売却処分する選択肢を充分に想定する必要があります。
この場合は、上記「6」で触れました通り、将来適切なタイミングで売却できるように、親が元気なうちに家族信託で備えることも重要な方策になります。

 

10. 不動産会社の見極め方は?

実家の売却や賃貸について相談をする不動産会社については、「大手不動産業者だから安心」「地元の有名企業だから間違いない」ということは必ずしも言えません。
中小企業でも個人事業者でも、信頼できかつ有能な方も少なくありません。
結局は、担当者次第ということになりますので、コミュニケーションがうまく取れる(波長があう)か、現地をちゃんと見に行ってくれるか、相続・税金・農地などに詳しいか、等の観点から、信頼できるかどうかを見極めたいです。
なお、実家の売却をする際には、複数の不動産会社に仲介を依頼できる「一般媒介契約」や自分でも買い手を探せる「専任媒介契約」より、1社にしか売却活動を依頼できない「専任専属媒介契約」の方がお勧めです。
原則3カ月間、1社が排他的・独占的に買い手探しをしますので、不動産会社も最優先で買い手を探してくれる可能性が高まるからです。
何社かに対して無料査定や売却相談をしてみて、「専任専属媒介契約」を締結する不動産会社を選びましょう。
先ほど、相続や税金にも詳しい不動産会社の担当者が好ましい旨を触れました。相続や空き家に関連し不動産を売却する際には、「換価分割」「代償分割」という遺産分割方法により負担すべき税金の額や納税義務者が異なってきます。また、「居住用不動産売却時の3,000万円特別控除」「相続空き家売却時の3000万円特別控除」の特例を受けられるかどうかも重要なポイントになりますので、これらのポイントもきちんと説明してくれる担当者が良いです。

 

大事なことは・・

実家の処分に関しては、検討・対処すべき問題・課題を家族全員で共有しつつ、方針を早めに決めること、そして親が元気なうちにすべきこと(実家の売却、家族信託や遺言、生前贈与など)があれば、専門家のサポートを得ながらしっかりと実行することが重要です。

 

→【その1】はコチラ

→【その2】はコチラ

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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