相続登記・不動産登記(売買、贈与、抵当権設定・抹消など)

権利能力なき社団と登記

4月 30, 2010

権利能力なき社団とは、社団(=人の集まり)としての実質は備えていても法人格を有していない団体を言います。

社団としての実質とは、判例によると
・一定の規則をもつこと ・団体内部の管理が多数決で処理されること
・対外的な行為をする代表機関が存在すること死因贈与契約の交わし方
・団体の財産が各構成員でなく団体に帰属していること
などの要件が挙げられます。

上記の要件を満たし、かつ法人格を有しない団体、例えば大学の同窓会や町内会が権利能力なき社団と言えます。法人格を有していないということは、権利・義務の帰属主体とはなれないということです。
すなわち不動産登記実務においては、権利能力なき社団所有の不動産は、団体名義では登記は認められず、“代表者個人名義”もしくは“構成員全員の共有名義”での登記となります。

なお、余談ですが、上記の不都合な点を解消すべく、権利能力なき社団のような人の集まりに法人格を持たせる法制度ができたのが従来の「中間法人制度」です。 中間法人法の制度趣旨は、今「一般社団及び一般財団法人に関する法律」に引き継がれ、「一般社団法人」という名称として引継がれていますので、同窓会や町内会、同好会、趣味サークル、研究会、業界団体、学会等様々な人の集まりが「社団」として法人格を持つことができるようになっています。
今では、中間法人法が廃止され、その趣旨を引き継いだ「一般社団」という法人格が認められています。

また、これまで権利能力なき社団として取り扱われていた地縁による団体(自治会や町内会)は、平成3年の地方自治法の改正により、市区町村長の認可を受けることにより、法人格を取得し、その名で、不動産登記の登記名義人となることが出来るようになりました。

 

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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