相続・遺産整理

配偶者居住権の代表的なメリット3つと活用事例

「配偶者居住権」とは、被相続人の配偶者が相続開始時に居住していた自宅での生活を続けられるように創設された制度ですが、遺産分割をスムーズに進めるうえで、この制度は非常に有効な選択肢となります。
そこで今回は、配偶者居住権の代表的なメリットについてご紹介します。

配偶者居住権のメリット

(1)遺産分割調停時に金融資産をより多く相続できる

法定相続人間に紛争性があり、遺産分割調停が起こされたケースにおいて、配偶者が財産評価額の高い自宅(土地・建物)を相続する場合、自宅の取得分で自己の法定相続分の権利(遺産の50%)をほぼ満たしてしまい、生活資金・納税資金としての金融資産をあまり取得できなくなる可能性があります。

つまり、住み慣れた自宅での生活ができるとは言え、その後の生活・介護資金が不足するリスクがあると言えます。

そこで、「配偶者居住権」を活用することで、配偶者が相続する自宅の評価額を抑えられますので、配偶者はその分の金融資産を多く取得できることになります。

(2)1次・2次相続全体における相続税の節税効果

法定相続人間の関係性が円満な場合においては、相続税の軽減効果が得られるというメリットがあると言えます。
どういうことかと言いますと、1次相続において「配偶者居住権」を設定した場合、特定の子が配偶者居住権の設定された「制限付き所有権」としての自宅を相続したとして相続税を算出・納税することになります(通常の評価よりも低い自宅を子が相続したことになります)。

将来、その配偶者が死亡した時点で配偶者居住権は自動的に消滅し、制限付き所有権を持っていた子が相続税の課税対象となることなく完全なる所有権財産を取得することができます。

結果として、1次・2次相続において納税するトータルの相続税額を軽減できる可能性があります(節税効果が見込めないケース、配偶者居住権を使わない方が相続税額を抑えられるケースもありますので、税理士さんを交えてしっかりとした精査・検討が必要です)。

(3)遺留分侵害額を抑制できる

上記(1)と同様法定相続人間に紛争性がある中で、遺言や信託契約、贈与などで遺留分が侵害されているとして調停が起こされたケースにおいてのメリットもあります。
「配偶者居住権」を設定することで、配偶者の取得する財産の評価額を低く抑えられますので、その分、遺留分侵害額に対する代償金の支払額を抑制できる可能性があります。


以上、今回は配偶者居住権の代表的なメリットをご紹介しました。

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  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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