相続登記・不動産登記(売買、贈与、抵当権設定・抹消など)

相続(相続税)対策で収益物件を親子間売買をするメリット・デメリット・注意点・リスク

6月 24, 2021

親が保有する収益不動産(賃貸アパートや賃貸マンション)を相続税対策又は争族対策の一環として「親子間売買」(「親族間売買」ともいう。)をするケースがあります。
この場合のメリット・デメリット・注意点・リスク等についてまとめてみました。

 

【メリット】

★売主(親)側のメリット★

㋐不動産を承継させたい子に現時点で確実に渡せる
㋑不動産に代えて現金を得ることができる(その現金を生前贈与したり、再投資したり、資産活用の実行がしやすくなる)
㋒賃料収入が入らなくなるので所得税の軽減効果が期待できる

★買主(子)側のメリット★

㋐相続発生を待たずに確実に不動産を取得できる
㋑売買代金の支払いは、賃料収入からの分割払いも可能(借入をするなど購入資金の調達をしなくても売買代金の支払いの負担を極力抑えて不動産を取得できる)
㋒今から賃料収入を得ることができる
㋓贈与ではなく有償譲渡なので、相続発生時に「特別受益」の問題が生じない

 

【デメリット・注意点・リスク】

★売主(親)側のデメリット・注意点・リスク★

①譲渡益が出れば、譲渡所得税が課税される
②保有資産が不動産から金融資産に代わることで、その時点では節税効果(相続税上の評価圧縮効果)が薄らぐ可能性がある
③賃料収入が入らなくなるので、毎月の収支状況が悪化するリスクがある

★買主(子)側のデメリット・注意点・リスク★

①購入に伴う諸費用の負担がかかる(登録免許税・司法書士報酬等の登記費用、不動産取得税など)
②一括で購入する場合は購入資金の調達が必要となる(融資での資金調達は難しい)
③サラリーマンでも賃料収入に伴う確定申告が必要になる(所得税の納税額が上がる)

なお、「親子間売買」「親族間売買」という施策は、最初からこの手段をやりましょうというケースは多くありません。
この施策を実行する前には、相続税対策や所得税対策、遺留分対策として、下記に挙げるような様々な施策を比較・検討した上で実行することになります。
つまり、様々な取り得る施策(選択肢)について、親子が一堂に会する「家族会議」の中で、そこに法律・税務の専門家に同席をしてもらってご検討頂くことが最も重要なプロセスと言えます。

・家族信託
・遺言
・生前贈与
・法人化(法人成り)
・生命保険の活用
・任意後見
・養子縁組

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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