その他雑感

光市母子殺害の高裁判決に思うこと

山口県光市で母子が殺害された事件についての差し戻し控訴審において
死刑判決が出た。
この死刑判決の妥当性や死刑制度存続の賛否については
敢えてコメントは差し控えることとするが
本村洋さんの記者会見には、毎度のことながら感銘を受ける。
多くの記者団・マイクに囲まれ、眩いフラッシュを浴びせられながら
よくあそこまで毅然とした態度で、記者会見に臨めるものだ。
発言内容も慎重に言葉を選んでいるようで、でも言葉に詰まるようなことはなく
難しい言い回しも自分の言葉として自然に言葉を発している。
それに引き替え、被告弁護団の記者会見の発言の
なんと薄っぺらなことか・・・。
本村洋さんの発言は、被害者が犯罪者に、犯した罪に対し、
憎しみをあらわにするというような単純なものでは決してない。
記者団からの質問に対する一問一答は、ある意味悟りを得た僧侶のようでもあり
一つ一つの言葉が非常に深くて重い。
また、そこには、最愛の家族を奪われた事実を
決して無駄にするまいとする揺るぎない強固な意思を感じる。
現実に、『犯罪被害者基本法』や『被害者参加制度』の導入へ
強大な影響を与えた。
偶然の事件を必然にする、つまり、凄惨な今回の事件も
すべて意味のあることであったと思えるようにしたいという旨の過去の発言にも心打たれる。
彼は、計り知れない損失と引き換えに、
図らずも大きな“力”を得ることができた。
その“力”、その想いを、ぜひ今後も我々の未熟な社会制度の改善に向けて
生かしてほしいと思うとともに、彼をはじめとする遺族の方々の幸せを願ってやまない。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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